2009年3月24日火曜日
教科書バリアフリー法Q&A:読み書きに困難のある児童生徒の教科書へのアクセスを支援する
ところが,文字の読みに困難のある人の場合,このように書籍を読んで楽しむ,という活動が制限されています。
何らかの障害のために,読みに困難のある児童生徒が書籍にアクセスするためには,フォントの変更やフォントサイズの拡大,録音図書の作成,読み上げソフトウェアの利用などなど,障害の状態に合わせて多様な方法があります。しかしこれらの方法を実現するためには,まず何らかの形で,編集可能な書籍データ(テキストデータまたは図表の画像データ)を入手することが必須となります。
この,書籍データ入手についてですが,現在のところ以下のような方法が代表的と思われます。
・自ら手作業でスキャンまたはOCRしたデジタルデータを使う
・書籍を購入した上で,出版社に自分で問い合わせてデジタルデータを提供してもらう
・視覚障害者のみ登録可能な「ないーぶネット( https://www.naiiv.gr.jp/ )」に登録し点字データを利用する
・視覚障害者のみ登録可能な「びぶりおネット( http://www.nittento.or.jp/ROKUON/haisin.htm )」に登録し録音図書を利用する
・全国の図書館ごとに保有していることがある障害のある人が利用可能な録音図書を利用する(視覚障害のみ使える場合が主で,発達障害や肢体不自由などその他の障害での利用ができるところはまれ。大阪府立図書館は多様な障害者が利用するための録音図書コンテンツが豊富で有名)
・青空文庫( http://www.aozora.gr.jp/ )などの著作権切れ書籍データ・アーカイブを利用する
・商用の書籍データ販売サービスや,もともと録音図書として販売されている音声データを利用する
しかし一般の書籍で,一部アクセシビリティが確保されたものだけに限らず,勉強に関して必要な,教科書のデータについてはどうしたらいいか?という問題があります。それに関して,昨年「教科書バリアフリー法」という法律ができ,来年度からの適用開始を機に,少しずつ環境が整い始めています。
以下に,この法律に基づいて,障害のある子どものために教科書のデータを入手する上での疑問点とその回答を書いてみました。この内容については,私が種々の情報源から判断して書いたものですので,誤解も含まれているかもしれません。その場合はコメントいただけましたら幸いです。(また,このQ&Aの内容チェックには,この文末にもリンクしている筑波盲学校の宇野和博先生にもご意見いただきました。ありがとうございます!)
Q1. 教科書バリアフリー法とは何ですか?
A1. 視覚障害などが原因で,学校で使用されている通常の教科書の使用が難しい生徒のために,教科書出版社に対して,「文部科学省へのデジタルデータの提供」と「文部科学省が定める標準規格に基づく拡大教科書の発行の努力義務」が法律で決められました。それが「教科書バリアフリー法」です(2008年6月10日成立『障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律』)。
これまで,障害のある生徒に合わせた教科書を作成するためには,ボランティア団体などが,通常の教科書を手作業でスキャン・OCRして,または手入力でテキストを入力して,地域や学校ごとに特別な教科書(例:弱視の生徒向けの拡大教科書,読み書き障害のある生徒のための録音図書)を作っていました。この種の作業には,多大な労力とコストが掛かります。結果として,障害のある子どもたちには使える教科書が非常に得にくい,という状況を生んでいました。拡大教科書については数社から発行されてはいましたが,種類は少なく,とても十分とは言える状況ではありませんでした。
教科書バリアフリー法により,拡大教科書や点字教科書については,ボランティアが製作しなくても,教科書出版社から直接発行される可能性が生まれました。(点字については盲学校では既に出版社が発行しているそうです。)また,スキャンなどの手間を掛けなくても,出版社から提供されたデジタルデータをボランティア団体などの元に届けることができるようになりました。
Q2. いつから教科書バリアフリー法は適用されますか?
A2. 2009年4月の教科書から適用されます。
Q3. この法律は,拡大教科書や点字教科書,録音図書を作るためにしか適用されないのですか?PDFをそのまま,読み上げソフトやパソコンでの表示のために使用することはできませんか?
A3. 端的に言えば,ややグレーですがおそらく可能と思われます。もともとはPDFデータから拡大教科書や点字教科書,録音図書などいくつかの「特製の」教科書を作ることを想定した法律です。なので,データそのものを配布して,それを障害のある子どもが使用する,ということはあまり想定されていないようです。
教科書バリアフリー法は,もともとは視覚障害のある子どもための拡大教科書発行を教科書会社に義務づけることを目指す運動の中から生まれた法律です。しかし,その法律立案の過程で,視覚障害に対する限定は外されています(各所に「児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず」という記述が見られます)。さらに,教科書出版社からのデジタルデータ(電磁的記録)提供の目的は,以下の第五条にあるように「教科用特定図書等の発行をする者」へデータを届けることと書かれています。ちなみに「教科書用特定図書等」とは,拡大教科書と点字教科書のことです(第二条で定義されています)。
「生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検定教科用図書等に代えて使用し得るもの」とあるので,将来的な電子教科書を見据えて,PDFデータそのものを読み上げやパソコン画面での表示に使うなどの拡大解釈ができそうな様子ではあるようです。
法成立の経緯から,教科書バリアフリー法は拡大教科書や点字教科書を作成するための法律,という形になっているようです(教科書用特定図書「等」の解釈は微妙ですが)。しかし,随所に他の障害のある子どもへの配慮も見え隠れします。
まずこの法律の制定に伴い,著作権法も改定されました。障害を問わず,様々な障害のある生徒に教科書を提供するため,自由な方式で複製して良いことになりました。おそらく,読み上げやパソコンでの表示を考えた場合,以下のようなやりとりが生じると思われます。
教科書出版社「拡大教科書か点字教科書作るなら,文科省経由でデータ提供するよ。うちで出版する訳じゃないから,自分で編集して印刷してね。」教師やボランティア団体「ねぇねぇ,このデータ,生徒が読み上げソフトとか使うときにも使って良い?著作権法で障害のある子ども向けに教科書は複製して良いことになってるんだけど,読み上げに使うならまた自分でスキャンしてOCRしなさい,とは言われないよね?」教科書出版社「うーんと,それどうしようか・・・・」
最後の「・・・・」にはどんな回答が入るか,法律上の規定がないのでケースバイケースだと思われます。しかし,教科書バリアフリー法のもととなったともいえる「拡大教科書普及推進会議」の第一次報告では,「音声読み上げのコンピュータソフトを利用した、教科書に準ずる教材を障害のある児童生徒に向けて製作する非営利団体」も「認定ユーザー」として「データ管理機関(明示されていないがおそらく文科省初等中等教育局の関連だろうと思われる)」に登録することで,教科書データを利用可能と記載されています。この規定に準じるなら,事実上利用は可能でしょう。
教科書バリアフリー法と著作権法の改定を併せて考えると,特別支援の現場レベルでは,ディスレクシアや肢体不自由などの障害のある子どもが教科書にアクセスするためのデータの利用(例えば読み上げやパソコン画面での表示)についても,適用可能なケースが生まれるよう,どんどん試してみることが大事と思われます。
また実際に,第七条では,発達障害『等』のある児童生徒に関する調査研究の推進も明言されており,今後の法改正次第では,拡大や点字以外にも,様々な方法の使用を法的にバックアップする方向に動いていくと思われます。
Q4. 小中学校(義務教育)の検定教科書だけしかデータ提供を申請できないのですか?高校生の教科書にも適用されますか?
A4. 検定教科書であれば,小中学校及び高校まで,データ提供を申請可能です。また小中学校だけでは,教科書用特定図書等を作成するためにかかるコストを,国と地方公共団体が負担することになりました(義務教育での教科書無償法に基づく)。そのためデータの提供は義務教育だけに制限されているように思われますが,実際にはそうではありません。予算措置がないだけで,高校であっても検定教科書であればデータ提供を申請することができます。
しかし,拡大教科書普及推進会議の第一次報告に戻ると,拡大教科書に関わるデータの提供は小中学校に限るという記述があり,高校については今後の検討課題として残された問題となっています。しかしながら,教科書バリアフリー法では高校の検定教科書についても,差別無くデータ提供の範疇とするようになっているため,高校の検定教科書についてデータの提供を文科省に申請すれば,データの入手が可能でしょう。その場合,データセンターに高等学校名で登録を行う必要があります。
Q5. 参考書などの副読本にも適用されますか?
A5. 現時点では,検定教科書に限定されています。参考書などの副読本は,学習において非常に重要なものですが,現在のところはこの法律ではサポートされていません。この問題については多くの関係者に認識されています。今後の改正が望まれます(実際のところ,包括的な著作権法の改訂などが進んでいます)。
Q6. 障害のある子どもに合わせた特別な教科書を作る際の予算は補助されますか?
A6. 小中学校では,教科書用特定図書等を作成するための予算は国と地方公共団体により全額補助されます。
Q7. 障害のある子どもに使用するための教科書データの提供は,誰でも申請することができますか?またはどこか問い合わせ窓口がありますか?
A7. 申請は個人ではできません。また,窓口は文科省(データ管理機関内)にあります。教科書バリアフリー法第十六条では,校長や市町村の教育委員会からの拡大教科書の需要報告を,都道府県の教育委員会がとりまとめて文部科学大臣に報告することが定められています。しかしこれは,予算措置の必要な拡大教科書の作成のために必要な手続きと思われます。
実際には,生徒からの支援ニーズに気づいた人(学校の先生など,団体に所属する人)が,データ入手への申請を含め積極的に動く必要があるだろうと思われます。
法律には明記されていませんが,「拡大教科書普及推進会議 第一次報告」には,教科書データを管理するのは「文部科学大臣が指定するデータ管理機関」という記述が見られます。従って文科省がデータを管理すると考えて問題ないと思います。個別の問い合わせは,基本的にこちらに行うことになるでしょう。Q3にも書きましたが,「認定ユーザー」として登録した団体であれば,データ管理機関からデータ提供を受けられるでしょう。また登録を必要としているのは,このデータを不用意に拡散流通させてしまった場合,罰則が適用されるためです。
Q8. データはどのような形で提供されますか?
A8. PDF形式でCD-ROMに保存されたものが提供されることが「拡大教科書普及推進会議 第一次報告」に記載されています。したがって,文字データ及び画像データ,表などすべて,販売されている検定教科書どおりのレイアウトのものが入手可能です。そこから教科書内部のテキストデータや画像データにアクセスすることができます。
Q9. 問い合わせなくても利用可能な教科書データはないのでしょうか?
A9. 三省堂の「聞く教科書シリーズ」は,音声データで販売されています。中学校教科書では英語が,高校教科書では英語,世界史,日本史,政経が販売されています( http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/ab/data/lis-text.html )。
<情報源>
障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/announce/H20HO081.html
著作権法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html
拡大教科書普及推進会議(文科省初等中等教育)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/048/index.htm
※ 平成21年2月17日現在,第一次報告が掲載されていませんが,LD親の会のページにPDFが置かれています。
→ 拡大教科書普及推進会議報告 拡大教科書普及推進会議(LDニュース)
http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/pdf/20081205.pdf
教科書のバリアフリー化に向けて一歩前進(障害者放送協議会著作権委員会委員長 井上芳郎氏)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/event20081101/inoue_text.html
「拡大教科書」に関する現状と今後の課題(筑波大学附属視覚特別支援学校学校 宇野和博氏)
http://www.lv-club.jp/hosyo/kousatu/kadai(081207).html
以上
2009年3月4日水曜日
「読み」に困難のある人のための実態調査・協力募集中
発達障害で「読みの困難」と言えば「ディスレクシア」と考えてしまいがちですが,アスペルガー症候群の人の中にも,綾屋さん(「発達障害当事者研究」の著者で当事者)のお話しをうかがったり,当事者の方々のお話を伺うと,文字(フォント)や色にこだわりがあったり,視覚的な過敏性があったり,または書籍や雑誌の段組の読み進め方がわかりにくく,混乱したりなどなど,いろいろな理由で読みにくさを感じている人がいることがわかってきました。
また,発達障害全般や認知面に困難のある障害に目を向けると,高次脳機能障害など,読みに困難を生じる障害は,ディスレクシア以外にもたくさんあります。しかしながら,当事者や支援に関わる人以外には,こうした困難さについてはあまり知られていないという現状があります。
そこで現在,これまでは視覚障害の人向けにサービスを提供していたBRC(バリアフリーリソースセンター)という団体が,視覚障害以外の人々で,読みに困難を感じている人の実態を知るための調査を行っています。視覚障害以外での,読みに困難を感じている人への支援の必要性を把握するための調査です。
日頃少しでも,本やウェブ,その他の印刷物などに読みにくさを感じたことがある人は,ぜひ調査に協力していただけるとありがたいです。特に,そうした困難を感じている人がどのような工夫をしながら読んでいるのか,具体的な方法について目を向けた調査であるところが特徴です。
「読み」に困難を感じている人への読書に関するニーズ調査(説明)
http://www.best-npo.com/brc/index2008-2.html
当事者向けアンケートのページに直接飛ぶ場合は,以下のリンクへ
http://www.best-npo.com/brc/2008.html
指導者・支援者向けのアンケートページに直接飛ぶ場合は,以下のリンクへ
http://www.best-npo.com/brc/2008-2.html
関連情報:
綾屋さん&熊谷さんの障害学会での発表要旨
http://www.arsvi.com/2000/0709as.htm
綾屋さん&熊谷さんの上記についての書籍
「発達障害当事者研究—ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく) 」
2009年3月2日月曜日
イベント情報:読書バリアフリーを考えるシンポジウム
2010年国民読書年に向けて視覚障害者・高齢者の読書バリアフリーを考えるシンポジウム−読書バリアフリー法の制定を目指して−
視覚障害者や加齢に伴う低視力化により読書がしづらくなった高齢者のための「読書バリアフリー」を考えるシンポジウムのご案内です。
国連では2006年12月、「障害者の権利条約」が採択され、我が国でも現在批准に向け国内法の整備が進められているところです。この条約では、合理的な配慮の下、「利用可能な様式を通じて、文化的な作品を享受すること」を確保するためのすべての適当な措置をとることが義務付けられております。
一方国内では、国民の「活字離れ」が叫ばれて久しくなりますが、国民的な読書活動を推進するために「子ども読書推進法」や「文字・活字文化振興法」が制定されております。また、2008年6月には国会で2010年を「国民読書年」とする決議が全会一致で採択され、国民すべてが更に読書に親しめるような読書環境と読書文化の高揚が期待されているところです。
このような情勢の中、障害者や高齢者の読書環境を改善するために以下のようなシンポジウムを企画しました。このシンポジウムでは、「読みたくても読めない」という読書困難者が一冊でも多くの本と触れ合えるようにするためにはどうしたらよいか、みんなで知恵を出し合い、出版そのもののバリアフリー化や図書館の障害者・高齢者サービスのあり方を考えていきたいと思います。そして最終的にはこの読書のバリアフリー化が、我が国の知的で活力ある文化の形成や力強い経済活動に貢献するための基礎的な環境整備となることを願っております。多くの方のご参加をお待ちしております。
日 時: 2009年3月21日(土) 13時〜16時30分
場 所: 日本盲人福祉センター (東京都新宿区西早稲田2-18-2 電話 03-3200-0011)
主 催: 日本盲人福祉委員会 文字・活字文化推進機構
後 援: 活字文化議員連盟 全国音訳ボランティアネットワーク 出版UD研究会 バリアフリー資料リソースセンター 弱視者問題研究会
日 程: 13:00〜 開会式
13:10〜 講演1 「視覚障害者の「文字に接する権利」--そのふたつの要素--」 講師:橋本宗明氏(社会福祉法人 ぶどうの木理事)
13:40〜 講演2 「公共図書館における視覚障害者サービスの歩み」 講師:田中章治氏(東京都立中央図書館)
14:10〜 休憩
14:20〜 読書バリアフリー法案提起
14:40〜 パネルディスカッション パネリスト 高橋秀治(ロゴス点字図書館長) 中和正彦(ジャーナリスト) 長岡英司(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター教授) 藤田晶子(全国音訳ボランティアネットワーク代表) 松井進 (千葉県立中央図書館)
16:20〜 閉会式
参加費: 無料
問い合わせ・申し込み先
バリアフリー資料リソースセンター(BRC)事務局 〒171-0031 東京都豊島区目白3-21-6-101 電話 03-3950-5260 ファックス 03-5988-9161 電子メール info@dokusho.org ※ Eメール、FAX、郵便などでお申し込みください。 ※ 点字,拡大文字,テキストファイルでの資料を 希望される方は申し込みの際にお申し出下さい。
会場までの交通:
JR山手線・西武新宿線で→「高田馬場駅」早稲田口から徒歩15分
早稲田口の改札を出て階段を数段下り、右に曲がって駅の外に出ます。正面の信号を渡って早稲田通りを500メートル程進み、明治通りとの交差点(馬場口交差点)を渡って右に曲がります。100メートル程進み、自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を左に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。
地下鉄東西線で→「高田馬場駅」7番出口から徒歩10分
7番出口を出て右に曲がり、早稲田通りを300メートル程進んで、明治通りとの交差点(馬場口交差点)を渡り、右に曲がります。100メートル程進み、自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を左に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。
地下鉄副都心線で→「西早稲田駅」ローソン横出口から徒歩3分
ローソン横出口を出て右に曲がり自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を右に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。
JR高田馬場駅からバスで→「高田馬場2丁目」バス停から徒歩5分
「高田馬場駅」早稲田口の改札を出て階段を数段下り、右に曲がって駅の外に出ます。2番のバス停から「早大正門行」都バスに乗り、一つめの「高田馬場2丁目」で下車します。駅方向に80メートル程戻り、明治通りと早稲田通りの交差点(馬場口交差点)を左に(早稲田通り側を)渡ります。100メートル程進み、自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を左に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。
2009年1月26日月曜日
オバマ政権での自閉症者施策について
自閉症対策法をベースにした大規模スクリーニング実施とそれに基づく対策の立案・実施へ向けた動きが本格的に始まるということのようです。
<以下訳>
自閉症について
Obama大統領とBiden副大統領は,自閉症スペクトラム障害(ASD)のあるアメリカ人,その家族,そしてそのコミュニティを支援する。その支援には,以下のように,いくつかの鍵となる要素がある。
*第一に,Obama大統領とBiden副大統領は,自閉症に関する研究,処置,スクリーニング,国民の認識,支援サービスへの資金拠出の増加を支持する。
*第二に,Obama大統領とBiden副大統領は,ASDのある人々への生涯を通じたサービスおよび,ASDのある成人と子ども両者への介入とサービスの改善を支持する。
*第三に,Obama大統領とBiden副大統領は,自閉症対策法(Combating Autism Act)と,政府と州のASDに対するプログラムをどのように改善していくかを決定するため,議会,親,ASD専門家の作業への資金拠出を支持する。
*第四に,Obama大統領とBiden副大統領は,全ての乳児の全数スクリーニングと,ASDを含むいくつかの兆候が現れ始める年齢である二歳児の段階での再スクリーニング実施を支持する。これらのスクリーニングは安全で安全かつ確実なものとなり,スクリーニングを望む全てのアメリカ人が利用できるものとなる。スクリーニングは,必要な支援やサービスを得るために十分に早い段階で障害を同定する上で,子どもや家族にとって不可欠なものである。
Autism
President Obama and Vice President Biden are committed to supporting Americans with Autism Spectrum Disorders ("ASD"), their families, and their communities. There are a few key elements to their support, which are as follows:
* First, President Obama and Vice President Biden support increased funding for autism research, treatment, screenings, public awareness, and support services. There must be research of the treatments for, and the causes of, ASD.
* Second, President Obama and Vice President Biden support improving life-long services for people with ASD for treatments, interventions and services for both children and adults with ASD.
* Third, President Obama and Vice President Biden support funding the Combating Autism Act and working with Congress, parents and ASD experts to determine how to further improve federal and state programs for ASD.
* Fourth, President Obama and Vice President Biden support universal screening of all infants and re-screening for all two-year-olds, the age at which some conditions, including ASD, begin to appear. These screenings will be safe and secure, and available for every American that wants them. Screening is essential so that disabilities can be identified early enough for those children and families to get the supports and services they need.
2009年1月19日月曜日
スウェーデン企業・「2万人の障害者集団」サムハル
働きたい者には等しく機会を与える
“障害者集団”、スウェーデン・サムハルの驚愕(1)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090114/182649/
厳しい数値目標が国営企業を鍛えた
“障害者集団”、スウェーデン・サムハルの驚愕(2)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090115/182792/
弱者を変えた冷徹な合理性
“障害者団体”、スウェーデン・サムハルの驚愕(3)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090119/183071/
記事にはサムハルはかつての製造業メインからサービス業メインへの移行で,ある程度,臨機応変に対応できる障害者を重視しているといった記載がありました。となるとそうした対応が苦手とされる自閉症スペクトラムの当事者達にはどのように対応しているのかなど,気になっています。
とはいえサムハルには,障害が軽くて働ける人を優先的に雇用するのではなく,雇用が難しい人から優先的に働けるように,という原則があるようです。これは株主である国が毎年数値目標を設定していてコントロールしているとか。
それぞれの障害者の特性を把握して,グループで組み合わせて仕事に当たることができるようにするとか,精神障害の人がリハビリ的に仕事をする環境を作るとか,ちょうど私たちも内輪で議論していたようなトピックが書かれていたこともあり,何かの機会にストックホルムにお話しを伺いに行ってみたいと思っています。なんといっても「2万人」というインパクトがすごい。
関連情報
日本の皆様へ サムハルAB 代表取締役 イェルハルド・ラーション(他)
http://www.prop.or.jp/flanker/20/20samu.html
大阪のプロップステーションのサイトに,1998年12月と古いものですが,サムハルグループの代表と日本代表の方の挨拶が掲載されていました。日本代表事務所は検索しましたが,ウェブでは情報が見つけられませんでした。
身体障害者の就労状況:その1: SAMHALL( サムハル)の現状:
http://fukushi-sweden.net/welfare/handikapp/2008/samhall.l0802.html
上記のページは,スウェーデンにお住まいの社会福祉士の方のサイトのようです。掲示板の前書きに,スウェーデンが福祉国家として日本から神格化されているが,スウェーデン国内では福祉と教育が民営化されたことを端緒とする問題や批判が大きいこと,さらにその背景にEU連合へ支払う莫大な会費による国家財源の圧迫があることなどが書かれていて興味深いです。日本が偏重する「スウェーデン福祉神話」という指摘はなるほどと思います。
2004年度サムハル社(スウェーデン)年次報告書
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/ld/samhall2004/business.html
DINFにサムハルの2004年の年次報告書と題された短いレポートが掲載されています。DINFでは知的障害のカテゴリに分類されていますね。日経の記事を読むと,多様な障害を対象としていると書かれていますから,ちょっと分類が誤解を招くかもですね。それともやはり知的障害者の雇用がメインなのでしょうか。
2008年12月17日水曜日
空気を読むSST,シンボルと写真の活用(外国人向け日本語教育の素材を特別支援教育に生かす)
特別支援教育関連ではなく,日本語教育の教材なのでつい見落としていましたが,教育目的では自由に使用できる無料素材なので,これを使わない手はありませんね。
みんなの教材サイト
http://minnanokyozai.jp/
上記のサイトでは,会員登録(無料)してログインすると,様々な素材を使用できるようになります。利用者として日本語教師を想定してサイトが作られていますが,別段日本語教師でなくても,誰でも登録して使うことができるようです。
7,700を超えるイラスト素材を公開
例えば,イラスト素材については,「教科書を作ろう」イラスト406点,「CASTEL/J」イラスト6,795点,「UME」イラスト219点,「初級語彙イラスト集」イラスト308点が公開されていました。
いずれも,名詞はもちろん動詞を表すイラスト素材が充実しています。ちなみに初級語彙イラストはすべて動詞です。「あいさつします」「合います」「会います」「上がります(エレベーター)」「上がります(気温)」のように,動詞に対応したイラストがダウンロードできます。
まさにこれ,自閉症などコミュニケーション支援用のシンボルとして使えますね。
状況説明付き生活場面の写真素材が500枚以上
そしてこれ,この写真素材はすごいですよ。驚きました。日本人の生活に関連する場面を描写した写真が,その状況や社会的,文化的な意味を説明した文章付きで公開されていました。
衣食住と道具
衣類、飲食物、住居、道具、の四つのテーマ・・・日本人が日常生活でよく使用する あるいは目にする「もの」の写真,名詞の写真107枚
社会生活
報道・通信、医療・サービス、交通、行政、経済活動、教育、の六つのテーマ・・・日本社会における様々なサービスとそれが行われる場所を紹介する写真114枚
自然と余暇
季節・気象、地形、動植物、教養・娯楽、スポーツ、観光地、の六つのテーマ・・・日本の自然と観光地、日本人の余暇を紹介する写真49枚
行事
年中行事、冠婚葬祭、の二つのテーマ・・・日本の主な年中行事と祭り、冠婚葬祭を紹介する写真98枚
日常生活
起床・睡眠食事、美容・健康、通学・通勤、勉強、仕事、家事、交際、趣味・遊び、の九つのテーマ・・・四つの家族の構成を表す写真と、それらの家族の日常生活を紹介する写真,動詞の写真147枚
上記のように充実しているところもすごいのですが,以下,ちょっと見てみてください。「日常生活/仕事」カテゴリにある「名刺交換」のページのスクリーンショットを撮ってきました。注目すべきは,このページの「発展解説」の部分なんです。

仕(し)事(ごと)で初(はじ)めて人(ひと)に会(あ)うときには、ふつう、名(めい)刺(し)を交(こう)換(かん)します。訪(ほう)問(もん)先(さき)では客(きゃく)から先(さき)に、立(た)ったまま、名(めい)刺(し)を受(う)け取(と)る人(ひと)が読(よ)めるように向(む)けて、片(かた)手(て)を添(そ)えて両(りょう)手(て)で出(だ)します。受(う)け取(と)るほうも両(りょう)手(て)を使(つか)います。受(う)け取(と)った名(めい)刺(し)は、すぐにポケットなどにしまわず、テーブルの上(うえ)などに置(お)いておきます。その場(ば)では名(めい)刺(し)にメモなど書(か)かないようにします。
名(めい)刺(し)には、所(しょ)属(ぞく)、役職(やくしょく)、名(な)前(まえ)、会(かい)社(しゃ)の住所(じゅうしょ)、電(でん)話(わ)番(ばん)号(ごう)、メールアドレスなどが書(か)いてあります。
また、あいさつをするときには、ふつう、おじぎをします。おじぎは体(からだ)を30度(ど)ぐらい曲(ま)げ、頭(あたま)を軽(かる)く下(さ)げます。
内容的には「日本人が名刺交換する習慣とその作法」が説明してあります(このサイトの文字には上記のような形で全ての漢字にルビが振ってあるので,少々読みにくいかもしれません)。
他にもこの調子で,写真とともに説明が示されています。例えば「交際」カテゴリのトピックを引用してみると,以下の18件が登録されていました。
「食後のだんらんをする」
「朝のあいさつをする」
「母親同士でおしゃべりをする」
「誕生日会をする」
「手紙を書く」
「手紙を出す」
「デートをする」
「若者同士で時間をつぶす」
「飲み会をする」
「電話をかける」
「訪問する」
「会社の人と酒を飲む」
「ゴルフをする」
「相談する(公民館)」
「相談する(喫茶店)」
「カラオケで歌う」
「結婚式に出席する」
「葬式に行く」
以前,ある自閉症スペクトラム当事者の方とのやりとりのなかで「外国人向けに書かれた日本事情の本が,発達障害のあるある人にとって『空気を読む(いわゆる暗黙のルールを知る)』ことに役立つよね」という話をしました。このサイトの情報は,まさにこうした目的にも役立てられるのではと可能性を感じています。
そもそも外国の言葉を学ぶときには,言語自体を学ぶ以外に,背景情報としてその国の文化や習慣を学ぶことがとても重要です。しかもたいがい,文化や習慣は国ごとに大きく違うので,異文化の人にとって,文化習慣を学び,理解することはとても難しい。そこで外国人に言葉を教えるときには,わかりやすい教材を作る必要がある,というニーズが生じてきます。
日本生まれの日本育ちでも,物事の受け止め方に周囲とのギャップを感じたり,理解の難しい「暗黙のルール」に苦しんでいる発達障害のある人々にとっては,こうした教材に誰でも自由に触れられるようになると本当に役に立つと思います。
※ちなみにこのサイトでは,日本語の文字のアニメーション教材なども見ることができます。読み書き障害の支援にとっても役立つ教材です。
2008年12月8日月曜日
ATACカンファレンス京都2008お疲れ様でした
ATACカンファレンス京都2008
ATACは講師と参加者の方々の距離が近いので,終わった後にいろいろなご意見いただけたりと講師にとってもとても楽しいイベントです。たくさんのアイデアと元気をいただきました。また来年,京都でお会いできればうれしいです。
私が講師を務めたセミナーのリスト:
1)12月5日 10:00〜16:45 プリカンファレンス(講師)
「相手に正しく自分の見たことを伝えることが出来ますか?〜福祉や教育に役立つ科学的観察と記録の方法を学ぶ〜」
2)12月6日 11:20〜,13:20〜(各30分間)
LivingLibrary(むーんらいずさんの辞書役)
3)12月6日 15:20〜16:20(講師)
「思考を整理する技術 〜マッピングソフト入門〜」
4)12月7日 9:30〜10:30(講師)
「ケータイを活用する」
5)12月7日 11:00〜12:00(講師)
「Windowsの秘密 -肢体不自由・視覚障害の人に便利な機能-」
6)12月7日 13:00〜14:00(講師)
「障害のある高校生を大学へ〜合格へ向けての合理的配慮の申請とは〜」
7)12月7日 14:30〜15:30(講師)
「パワーポイントでうまれる教材」
2008年11月9日日曜日
テキスト入力専用機で書字の困難を支援する
私たちも書字に困難のある子どもに,パソコン上のワープロソフトやソフトウェアキーボード,チャットソフトなどを使って,文章を綴る楽しみ,文字で誰かにメッセージを伝える楽しみを早いうちから感じてもらうことを実践しています。
文字を書く訓練にこだわるあまり,その先にある文字を通じたコミュニケーションという目的やそこにある楽しさが感じられず,文字に関わること自体がトラウマになってしまうことがあってはならないと思うからです。ところが勉強の場面では,学校になかなかパソコンを持ち込めないという現実を悲しく感じていました。
ポメラは本当に「文章の入力と記録だけしかできない」ので,ペンやノートなどの文房具と同じようにとらえられ,学校場面にも持ち込むことができるのではないか,という期待があります(同じコメントを前出のお母さんからもいただいています)。価格も定価で2万7千円,実売では2万円を切る値段になるようです。
デジタルメモ帳「ポメラ」——文庫本サイズのテキストエディタ登場
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/21/news075.html
「ポメラ」関連のニュース
http://news.google.co.jp/news?q=%E3%83%9D%E3%83%A1%E3%83%A9
本当は,教育場面でもパソコンを持ち込んでその子どもの困難さに合わせたソフトウェアを使えるようになるといい,と思うのですが,なかなか壁は厚いですね。そんなときに,こんなニュースを見つけました。
インテルと内田洋行、ICT 教育の普及に向けて柏市の公立小学校2校で実証実験
http://japan.internet.com/public/news/20080807/4.html
企業が支援して,学校場面にパソコンを導入する試みはまだ始まったばかりです。上記の記事のような大規模な試みが継続的に行われよう,応援したいです。
ただ気になるのは,パソコン導入の目的として「反復訓練」に重きが置かれている点です。学校教育の場面からパソコンが導入されることで,ネット利用や機能代替・拡大ソフトウェアが利用できる可能性が生まれます。その可能性を生かすことができれば,学習面に様々な困難ある子どもが皆と同じ場に参加できるようになるという効果も生まれます。さらに,そうした拡大・代替で生まれる,これまでになかった「新しい知」を感じられる場にもなるでしょう。それを見抜いて記録する受け皿を,教育を実施する側に用意しておいて欲しいと思います。ただのパソコン・ドリルで終わるだけではもったいないです。
共有は便利,でもセキュリティには注意。
Googleマイマップで意図せぬ情報公開多発、「うっかり」で済めばいいが
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0811/09/news001.html
Google:マイマップの公開設定をご確認ください 2008年11月4日
http://googlejapan.blogspot.com/2008/11/blog-post.html
こうしたことで便利な機能が敬遠されてしまうのはナンセンスだと思いますが,不利益を被ったり,不安や不快感を感じる人が生まれないように,セキュリティにはくれぐれも注意しましょう。私も気をつけねばと思いました。
2008年10月22日水曜日
当事者の語りに触れるには
「がん患者の語り」データベース
http://www.dipex-j.org/
「がん患者の語り」データベースとは?
このプロジェクトは、乳がんまたは前立腺がんを体験された皆さんに、最初に診断を受けたときの気持ちや治療法の選択において参考にしたこと、闘病中に困ったこと、生活への影響などについてインタビューさせていただき、その内容を系統的に整理して、データベース化しようというものです。一部はインターネット上の『がん患者の語りウェブサイト』に公開されます。英国Oxford大学で作られているDIPEx(Database of Individual Patient Experience)というデータベースがモデルになっています。
BBCが"Living Library"のニュース動画を配信中
http://current.ndl.go.jp/node/7808
この「Living Library(生きた図書館)」という活動は,元は暴力や武力侵略をなくすために始まったものとのこと。そうしたぶつかり合いの元になっている,世の中のマイノリティに対する誤解や偏見をなくし,相互理解を深めるために行われている活動です。警察官,菜食主義者,肥満の人,特定の宗教の教徒,ティーンエイジャー,そしてもちろん障害のある人など,さまざまな人々が「生きた本」としてイベント中で「貸し出され」,借りた人はその「本」と30分間ゆっくり話をすることができる,というものだそうです。誤解を助長しないために,マニュアルも作られています。面白い活動ですね。
ATARIMAEプロジェクト:障害者があたりまえに働けるニッポンへ
ページの最下部,「働きたい障害者の皆さんへ」のところで,障害のある人が厚生労働省の制度を活用して雇用に至るまでの流れが図にまとめられ,説明されていたりするので,この辺りをよくご存じない方には全体を見渡す良い資料になると思います。
ATARIMAEプロジェクト:障害者があたりまえに働けるニッポンへ
http://atarimae.jp/
私も,障害者雇用礼賛という感じでもなく,(社会生活全般の話題を,もっと中立的に善し悪し含めて)当事者からの語りや体験談,そこから生まれたライフハックなどを見ることができるサイトを作りたいなと思って,準備しています。ちゃんと形にしようとしていますが,日の目を見るのはいつの日か。
2008年6月27日金曜日
アスピーズ in 米国のIT業界
以下のページで、翻訳された全文を読むことができます。
IT業界で闘う“アスピーズ”
アスペルガー症候群を抱えたITプロたちの“苦悩”と“現状”
http://www.computerworld.jp/news/trd/111349.html
最初の方は一般的なアスペルガー症候群の説明や事例が多いですが、後半は米国の職場で陰ながら行われている取り組みなんかにも触れてあり、興味深いです。以下、8ページ目の文章を一部引用します。
アスピーズが切望するよりよい職場環境とは
アスピーズが職場で抱えている「社会的相互交渉が困難」という課題は、先進的な人事部門でさえ理解できないほど微妙なことなのかもしれない。しかし、だからといって、アスピーズの支援に消極的であることを正当化する理由にはならない。専門家は、「アスピーズに配慮した環境作りといっても、大がかりなものである必要はない。また、“アスピーズに特化した”と考える必要もない」とアドバイスする。
Grandin氏らは、オフィス環境に物理的な工夫をするのも1つの施策だと指摘する。多くのアスピーズは、照明の明滅、エアコンやコピー機の動作音、電話の呼び出し音を不快に感じている。オフィス内でのちょっとしたしゃべり声すら苦手だという場合も多い。そういった音のしない空間を確保したり、防音設備を整えたり、あるいはホワイト・ノイズを流したりすれば、オフィス環境は改善できる。
また公式には発表されていないが、Microsoftはアスピーズ支援のために「バディ制度」導入しているという。これは定型発達者(非自閉症者)とアスピーズとがペアを組み、会議などの社会的相互交渉の必要性を教える制度だ。多くのアスピーズはこの制度を「実際に行われているのであれば、評価できる」としている。
バディ制度には私も賛同します。現実的には運用段階で難しい点も出てくると思いますが、こうしたことをすぐに実践できるような職場環境であることが、すでに望ましい環境だと思いました。
さらに途中には「In My Language」というYouTubeの動画も紹介されています。これは自閉症者の世界観を、A・バックスという当事者が語る(言葉を地声ではなく、音声エンジンで発話させているところがまた面白い)動画です。私にはとても芸術性の高い映画のように感じられました。
2008年6月2日月曜日
注意の障害のある子どもを支援する
基本的には,「プレゼンテーションツールの活用で注目をうながす方法」と「過剰な刺激を制限するグッズで落ち着きを助ける方法」を中心に紹介しています.
ADHDの障害特性はこうだから,とか,発達障害の障害種別にはこだわらずに,授業場面で注意に困難を抱える子どもたちがどんなことで困っているか,またそれをサポートするためにはどうする?という視点でまとめています.
実践コーナーでは,マイクロソフト社のパワーポイントを使って,実際に注目を促す教材を作る方法を紹介しています(サンプルデータも配布しています).
良かったら手に取ってみてください.
読み書きに障害のある子どもを支援する
「テクノロジーで支援する発達障害のある子の困り感」という連載タイトルで,4月号から7回ものの連載です.初回の4月号は中邑賢龍先生(東京大学先端科学技術研究センター)に総括的なレビューをいただき,5月号からバトンタッチして私が各論的なお話しをしています.
コンセプトは「すぐに試せる」ということなので,あまり難しいテクノロジーの話に傾きすぎずに,無料で,すぐに実践してみることができるものを紹介しています.
5月号は,「読み書きに障害のある子どもを支援する」というタイトルで,読みを楽にする読み上げソフトや音声図書,文字入力を楽にする推測入力や,ICレコーダの活用などの紹介をしました.
記事中の体験コーナーでは,「Natural Reader」という,無料で試せる読み上げソフトと,HOYA社製の高性能な音声合成エンジンの体験方法を説明しました.
(この音声エンジンには何種類もラインナップがあり,おすすめはMisakiという音声エンジンです.でもこの夏,あたらしいHarukaという音声エンジンが登場するそうで,とても楽しみにしています.)
書店や図書館で読んでいただけたら嬉しいです.
2008年5月23日金曜日
DO-IT Japan 2008 参加者募集中!
全国の障害や困難のある高校生の皆さん,東大で大学体験してみませんか?
どしどしご応募くださいませ.
障害のある高校生のための大学体験プログラム
DO-IT Japan 2008開催のご案内
(2008年7月23-27日)
「障害のある高校生のための大学体験プログラム『DO-IT Japan 2008』」が下記のとおり、東京大学先端科学技術研究センターにて開催されます。このプログラムでは、全国から選抜された障害のある高校生・高卒者にコンピュータとその人の障害に応じた支援機器を提供し、大学進学や将来の就職といった本人の希望の実現を支援します。
参加者は5日間の大学体験プログラムの中で親元を離れ、大学や企業で講義を受けるとともに、社会で活躍する障害のある人々との交流を図ります。さらに、その後のオンラインメンタリングを通じて、進路について自分自身で考え、選択するのに必要な知識や能力を身につけます。
DO-ITとは、Disabilities(障害)、Opportunities(機会)、Internetworking(インターネット利用)、Technology(テクノロジー)の頭文字をとったもので、最新のテクノロジーを活用しながら、大学進学と就労を目指す障害のある若者の自己実現と、多様性に対して開かれた社会の実現への寄与を目的として16年前に米国で誕生し、独自の取り組みを含めて昨年度日本で初めて実施されました。
記
日時: 2008年7月23日(水)~27日(日)
場所: 東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区駒場4-6-1)
対象:大学進学を目指す障害のある高校生、高卒者
(学年・障害の種類や程度・希望大学は問いません)
募集人数:約10名(応募受付は5月1日~31日)
参加費用:旅費と食費(参加費、宿泊代、機器利用料はDO-IT Japanが負担)
主催:DO-IT Japan、東京大学先端科学技術研究センター
共催:マイクロソフト株式会社
協力:ソフトバンクモバイル株式会社,株式会社トヨタレンタリース東京 他
後援:厚生労働省(申請中)、文部科学省(申請中)
学習テーマ:
・ 大学を知る(講義と研究室訪問)
・ITスキルの習得
・障害の理解
・暮らしのイメージをつかむ
・コミュニケーションの技法
応募書類を下記のホームページよりダウンロードいただけます。
DO-IT Japan(http://doit-japan.org/)
事務局
TEL:03-5452-5490・090-8711-8522
FAX:03-5452-5490
E-mail:info@doit-japan.org
2008年4月28日月曜日
発達障害のある子どもに使える教材を探したいときには?
http://www.jpald.net/research/index.html
国内で入手可能な教材を親の会がまとめたもの、と書かれています。本当にたくさんの教材が紹介されています。これをまとめる作業は本当に大変だったことと思います。とても興味深いですね。このDBにくっついて、活用法のノウハウが蓄積されるような情報源ができていけばいいなと思いました。
2008年3月28日金曜日
厚生労働省の発達障害情報サービス
厚生労働省のウェブサイトに、以下のような情報ページができました。今後どんどん情報が充実してくるといいですね。
発達障害情報サービス:トップページ
http://www.mhlw.go.jp/ddis/a/index.html
全国の発達障害支援センターの連絡先も、以前はPDFでしか見られなかった(官公庁関係ではPDFでのみ公開、というスタイルが多くて多少不便です)のが、このサイトで公開されています。まだ準備中の部分も多いですが、今後が楽しみなサイトです。
2007年12月15日土曜日
発達障害のある人の働く環境を整えるには?
発達障害のある人と、一緒に働きやすい環境を作りたいと考えている方はぜひ一度読んでみてください。また、発達障害のある人自身にとっても、自分の作業を楽にする工夫・アイデアが見つかるかもしれません。
発達障害のある人の雇用促進マニュアル
htpp://www.koyoerc.or.jp/dd.html
第1章 発達障害とはどんな障害ですか?
第2章 雇用管理で配慮すべきポイント
第3章 Q&A こんなことに戸惑いを感じていたら
第4章 さまざまな職場で働く発達障害のある人
第5章 発達障害者に対する就労支援サービス
付 録 支援機関一覧
発達障害者支援法の成立(平成17年4月1日施行)等を背景として、発達障害者の自立及び社会参加の促進を目的とした企業就労に向けた意識が高まっています。しかしながら、現状においては、障害のわかりにくさや支援体制の不備等から、障害に関する知識や就業に当たっての配慮事項等に関するノウハウが一般の事業主には行き渡っていない状況にあります。
そこで、厚生労働省の委託を受け、発達障害者の特性を踏まえた雇用管理、職場環境の整備の方法等について調査・検討を行い、雇用、医療、福祉、教育等関係分野の有識者及び当事者等の参集を求め、「発達障害者雇用促進マニュアル作成委員会」を開催し、発達障害者の雇用促進に資する企業向けマニュアル「発達障害のある人の雇用管理マニュアル」を開発いたしました。
本マニュアルは、企業等における発達障害者の障害特性の理解、支援体制の整備等に役立ち、その雇用管理のために広く活用されるよう、行政機関、支援機関、各関係団体等に配布されております。
2007年10月29日月曜日
Sicence Dailyで最新のAutism研究を知る
http://www.sciencedaily.com/news/mind_brain/autism/
英語ですが、最新の研究成果をわかりやすい一般的な話題と絡めて紹介しています。最近の話題だと、「レインマン・マウス(自閉症のモデルマウス)」や「自閉症の症状は青年期にはいると軽減するという大規模調査結果」などが紹介されています。今後ここでも時折紹介していこうかなと思っています。
2007年10月25日木曜日
「Science」の要約を日本語で
AbstractClub - 英文技術専門誌の論文・記事の和文要約
http://www.ricoh.co.jp/abs_club/Science_f/