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2009年3月28日土曜日

Microsft PowerPoint® 向けの文字教材サイトをオープンしました

「特別支援教育でのPowerPoint活用」というWebサイトを公開しました。

特別支援教育でのPowerPoint活用
http://www.microsoft.com/japan/enable/ppt/

このサイトでは,マイクロソフト社のプレゼンテーションソフトPowerPoint(パワーポイント)で作成した,授業などで使えるスライドの例を,その作成方法とともに紹介しています。

また,(これが個人的には目玉だと思っているのですが)小学校で学習するひらがな,カタカナ,数字,漢字のすべての文字を一画ごとに独立したパーツの組み合わせで構成したスライドを無償でダウンロードできます。長音符や小文字も含めて,1,182文字すべてをスライドとして用意しました。加工も自由にしていただけます。活用法方法も紹介しています。

この文字教材は口頭で説明するのが難しいので,ビデオを作ってみました。以下のような活用が可能です。このビデオはパワーポイントのプレゼンテーションを録画したもので,この教材を私が組み合わせて作成したものですので,同じようなものを作ることも可能です。





1年半くらい前に思いついて,公開までマイクロソフトさんを始め,いろいろな方々のご協力をいただいて,ずいぶんと時間がかかってしまいましたが,無事公開の運びとなりました。ご協力いただいた方々には,本当に感謝です。ありがとうございます。

障害のある子どもたちの学習場面ではもちろん,文字に関わる活動のいろいろなシーンで活用できると思います。すでにディスレクシアなどの困難のある子どもたちの学習場面で使ってみていただいた先生方から,子どもたちの嬉しいコメントをいただいています。

あっと驚く活用アイデアを思いつかれた方,ぜひ,教えてください。今後も,ウェブサイトや勉強会などでパワーポイントを活用したアイデアを共有していきたいと思います。

2009年3月26日木曜日

メールなど画面内容をすべて読み上げてくれる携帯電話

視覚障害者の世界では誰もが知っていることになってきていますが,読み書き障害の世界ではあまり知られていないかもしれないと思い,テキスト読み上げ機能のある携帯電話のご紹介です。

ドコモから発売されている「らくらくホン」シリーズには,すべての機種に読み上げ機能が標準搭載されています。文字が読めなくても,携帯電話がメールや画面の操作項目などを,すべて音声で読み上げてくれます。

視覚障害者向け,として開発された携帯電話ですが,ディスレクシアなど読みに困難のある人々にとって役立つものです。

それから「詳細読み」といって,文字入力をするときに例えば「発達」と入力したとき,「はったつのハツ,そくたつのタツ」と読み上げて,漢字が正しいかどうかの手がかりを示すといった機能もあります。

ドコモのらくらくホンのサイトは以下にあります。らくらくホンシリーズには高機能なものから簡易版までいくつものラインナップがありますが,すべてに読み上げ機能があります。

NTTドコモ:らくらくホン
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/easy_phone/


以下の総務省のサイト(NICT内,情報バリアフリーのための情報提供サイト)には,らくらくホンの解説記事が掲載されていますので参考にしてみてください。

「らくらくホン」は、音声読み上げ機能がついたユニバーサルデザインの携帯電話です
http://barrierfree.nict.go.jp/topic/service/20090309/


初期のころはメール作成時の文字は読めなかったり、メニューも一部だったりというスモールスタートでした。今では画面や、iモードの中に表示されるインターネットのコンテンツも読み上げますし、メール作成などの文字入力の時には漢字変換の詳細読みの対応もしています。毎回、視覚に障がいをお持ちのお客さまからいただいた要望をなるべく反映させていただく形で、少しずつですが機能の改善を進めて今に至っています。

http://barrierfree.nict.go.jp/topic/service/20090309/page3.html



読み書き障害のある人で,試してみた方はご意見聞かせてくださいね。

2009年3月24日火曜日

教科書バリアフリー法Q&A:読み書きに困難のある児童生徒の教科書へのアクセスを支援する

読書が好きな人であれば、書店で自由に好きな本を選んで購入することもできますし,図書館で本を借りて読書を楽しむこともできます。いずれにしても,たくさんの本のタイトルを見て回るうちに、ふと惹きつけれられる本に出会い,その読書を通じて自分の知らなかった世界の知識や経験,考え方に出会うことは、人生において本当に楽しく,かけがえのないことであると思います。

ところが,文字の読みに困難のある人の場合,このように書籍を読んで楽しむ,という活動が制限されています。

何らかの障害のために,読みに困難のある児童生徒が書籍にアクセスするためには,フォントの変更やフォントサイズの拡大,録音図書の作成,読み上げソフトウェアの利用などなど,障害の状態に合わせて多様な方法があります。しかしこれらの方法を実現するためには,まず何らかの形で,編集可能な書籍データ(テキストデータまたは図表の画像データ)を入手することが必須となります。

この,書籍データ入手についてですが,現在のところ以下のような方法が代表的と思われます。

・自ら手作業でスキャンまたはOCRしたデジタルデータを使う

・書籍を購入した上で,出版社に自分で問い合わせてデジタルデータを提供してもらう

・視覚障害者のみ登録可能な「ないーぶネット( https://www.naiiv.gr.jp/ )」に登録し点字データを利用する

・視覚障害者のみ登録可能な「びぶりおネット( http://www.nittento.or.jp/ROKUON/haisin.htm )」に登録し録音図書を利用する

・全国の図書館ごとに保有していることがある障害のある人が利用可能な録音図書を利用する(視覚障害のみ使える場合が主で,発達障害や肢体不自由などその他の障害での利用ができるところはまれ。大阪府立図書館は多様な障害者が利用するための録音図書コンテンツが豊富で有名)

・青空文庫( http://www.aozora.gr.jp/ )などの著作権切れ書籍データ・アーカイブを利用する

・商用の書籍データ販売サービスや,もともと録音図書として販売されている音声データを利用する

しかし一般の書籍で,一部アクセシビリティが確保されたものだけに限らず,勉強に関して必要な,教科書のデータについてはどうしたらいいか?という問題があります。それに関して,昨年「教科書バリアフリー法」という法律ができ,来年度からの適用開始を機に,少しずつ環境が整い始めています。

以下に,この法律に基づいて,障害のある子どものために教科書のデータを入手する上での疑問点とその回答を書いてみました。この内容については,私が種々の情報源から判断して書いたものですので,誤解も含まれているかもしれません。その場合はコメントいただけましたら幸いです。(また,このQ&Aの内容チェックには,この文末にもリンクしている筑波盲学校の宇野和博先生にもご意見いただきました。ありがとうございます!)


Q1. 教科書バリアフリー法とは何ですか?

A1. 視覚障害などが原因で,学校で使用されている通常の教科書の使用が難しい生徒のために,教科書出版社に対して,「文部科学省へのデジタルデータの提供」と「文部科学省が定める標準規格に基づく拡大教科書の発行の努力義務」が法律で決められました。それが「教科書バリアフリー法」です(2008年6月10日成立『障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律』)。

これまで,障害のある生徒に合わせた教科書を作成するためには,ボランティア団体などが,通常の教科書を手作業でスキャン・OCRして,または手入力でテキストを入力して,地域や学校ごとに特別な教科書(例:弱視の生徒向けの拡大教科書,読み書き障害のある生徒のための録音図書)を作っていました。この種の作業には,多大な労力とコストが掛かります。結果として,障害のある子どもたちには使える教科書が非常に得にくい,という状況を生んでいました。拡大教科書については数社から発行されてはいましたが,種類は少なく,とても十分とは言える状況ではありませんでした。

教科書バリアフリー法により,拡大教科書や点字教科書については,ボランティアが製作しなくても,教科書出版社から直接発行される可能性が生まれました。(点字については盲学校では既に出版社が発行しているそうです。)また,スキャンなどの手間を掛けなくても,出版社から提供されたデジタルデータをボランティア団体などの元に届けることができるようになりました。


Q2. いつから教科書バリアフリー法は適用されますか?

A2. 2009年4月の教科書から適用されます。


Q3. この法律は,拡大教科書や点字教科書,録音図書を作るためにしか適用されないのですか?PDFをそのまま,読み上げソフトやパソコンでの表示のために使用することはできませんか?

A3. 端的に言えば,ややグレーですがおそらく可能と思われます。もともとはPDFデータから拡大教科書や点字教科書,録音図書などいくつかの「特製の」教科書を作ることを想定した法律です。なので,データそのものを配布して,それを障害のある子どもが使用する,ということはあまり想定されていないようです。

教科書バリアフリー法は,もともとは視覚障害のある子どもための拡大教科書発行を教科書会社に義務づけることを目指す運動の中から生まれた法律です。しかし,その法律立案の過程で,視覚障害に対する限定は外されています(各所に「児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず」という記述が見られます)。さらに,教科書出版社からのデジタルデータ(電磁的記録)提供の目的は,以下の第五条にあるように「教科用特定図書等の発行をする者」へデータを届けることと書かれています。ちなみに「教科書用特定図書等」とは,拡大教科書と点字教科書のことです(第二条で定義されています)。

「生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検定教科用図書等に代えて使用し得るもの」とあるので,将来的な電子教科書を見据えて,PDFデータそのものを読み上げやパソコン画面での表示に使うなどの拡大解釈ができそうな様子ではあるようです。

法成立の経緯から,教科書バリアフリー法は拡大教科書や点字教科書を作成するための法律,という形になっているようです(教科書用特定図書「等」の解釈は微妙ですが)。しかし,随所に他の障害のある子どもへの配慮も見え隠れします。

まずこの法律の制定に伴い,著作権法も改定されました。障害を問わず,様々な障害のある生徒に教科書を提供するため,自由な方式で複製して良いことになりました。おそらく,読み上げやパソコンでの表示を考えた場合,以下のようなやりとりが生じると思われます。

教科書出版社「拡大教科書か点字教科書作るなら,文科省経由でデータ提供するよ。うちで出版する訳じゃないから,自分で編集して印刷してね。」教師やボランティア団体「ねぇねぇ,このデータ,生徒が読み上げソフトとか使うときにも使って良い?著作権法で障害のある子ども向けに教科書は複製して良いことになってるんだけど,読み上げに使うならまた自分でスキャンしてOCRしなさい,とは言われないよね?」教科書出版社「うーんと,それどうしようか・・・・」

最後の「・・・・」にはどんな回答が入るか,法律上の規定がないのでケースバイケースだと思われます。しかし,教科書バリアフリー法のもととなったともいえる「拡大教科書普及推進会議」の第一次報告では,「音声読み上げのコンピュータソフトを利用した、教科書に準ずる教材を障害のある児童生徒に向けて製作する非営利団体」も「認定ユーザー」として「データ管理機関(明示されていないがおそらく文科省初等中等教育局の関連だろうと思われる)」に登録することで,教科書データを利用可能と記載されています。この規定に準じるなら,事実上利用は可能でしょう。

教科書バリアフリー法と著作権法の改定を併せて考えると,特別支援の現場レベルでは,ディスレクシアや肢体不自由などの障害のある子どもが教科書にアクセスするためのデータの利用(例えば読み上げやパソコン画面での表示)についても,適用可能なケースが生まれるよう,どんどん試してみることが大事と思われます。

また実際に,第七条では,発達障害『等』のある児童生徒に関する調査研究の推進も明言されており,今後の法改正次第では,拡大や点字以外にも,様々な方法の使用を法的にバックアップする方向に動いていくと思われます。


Q4. 小中学校(義務教育)の検定教科書だけしかデータ提供を申請できないのですか?高校生の教科書にも適用されますか?

A4. 検定教科書であれば,小中学校及び高校まで,データ提供を申請可能です。また小中学校だけでは,教科書用特定図書等を作成するためにかかるコストを,国と地方公共団体が負担することになりました(義務教育での教科書無償法に基づく)。そのためデータの提供は義務教育だけに制限されているように思われますが,実際にはそうではありません。予算措置がないだけで,高校であっても検定教科書であればデータ提供を申請することができます。

しかし,拡大教科書普及推進会議の第一次報告に戻ると,拡大教科書に関わるデータの提供は小中学校に限るという記述があり,高校については今後の検討課題として残された問題となっています。しかしながら,教科書バリアフリー法では高校の検定教科書についても,差別無くデータ提供の範疇とするようになっているため,高校の検定教科書についてデータの提供を文科省に申請すれば,データの入手が可能でしょう。その場合,データセンターに高等学校名で登録を行う必要があります。


Q5. 参考書などの副読本にも適用されますか?

A5. 現時点では,検定教科書に限定されています。参考書などの副読本は,学習において非常に重要なものですが,現在のところはこの法律ではサポートされていません。この問題については多くの関係者に認識されています。今後の改正が望まれます(実際のところ,包括的な著作権法の改訂などが進んでいます)。


Q6. 障害のある子どもに合わせた特別な教科書を作る際の予算は補助されますか?

A6. 小中学校では,教科書用特定図書等を作成するための予算は国と地方公共団体により全額補助されます。


Q7. 障害のある子どもに使用するための教科書データの提供は,誰でも申請することができますか?またはどこか問い合わせ窓口がありますか?

A7. 申請は個人ではできません。また,窓口は文科省(データ管理機関内)にあります。教科書バリアフリー法第十六条では,校長や市町村の教育委員会からの拡大教科書の需要報告を,都道府県の教育委員会がとりまとめて文部科学大臣に報告することが定められています。しかしこれは,予算措置の必要な拡大教科書の作成のために必要な手続きと思われます。

実際には,生徒からの支援ニーズに気づいた人(学校の先生など,団体に所属する人)が,データ入手への申請を含め積極的に動く必要があるだろうと思われます。

法律には明記されていませんが,「拡大教科書普及推進会議 第一次報告」には,教科書データを管理するのは「文部科学大臣が指定するデータ管理機関」という記述が見られます。従って文科省がデータを管理すると考えて問題ないと思います。個別の問い合わせは,基本的にこちらに行うことになるでしょう。Q3にも書きましたが,「認定ユーザー」として登録した団体であれば,データ管理機関からデータ提供を受けられるでしょう。また登録を必要としているのは,このデータを不用意に拡散流通させてしまった場合,罰則が適用されるためです。


Q8. データはどのような形で提供されますか?

A8. PDF形式でCD-ROMに保存されたものが提供されることが「拡大教科書普及推進会議 第一次報告」に記載されています。したがって,文字データ及び画像データ,表などすべて,販売されている検定教科書どおりのレイアウトのものが入手可能です。そこから教科書内部のテキストデータや画像データにアクセスすることができます。


Q9. 問い合わせなくても利用可能な教科書データはないのでしょうか?

A9. 三省堂の「聞く教科書シリーズ」は,音声データで販売されています。中学校教科書では英語が,高校教科書では英語,世界史,日本史,政経が販売されています( http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/ab/data/lis-text.html )。


<情報源>

障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/announce/H20HO081.html

著作権法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

拡大教科書普及推進会議(文科省初等中等教育)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/048/index.htm
※ 平成21年2月17日現在,第一次報告が掲載されていませんが,LD親の会のページにPDFが置かれています。
→ 拡大教科書普及推進会議報告 拡大教科書普及推進会議(LDニュース)
http://shibuya.cool.ne.jp/ldnews/pdf/20081205.pdf

教科書のバリアフリー化に向けて一歩前進(障害者放送協議会著作権委員会委員長 井上芳郎氏)
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/event20081101/inoue_text.html

「拡大教科書」に関する現状と今後の課題(筑波大学附属視覚特別支援学校学校 宇野和博氏)
http://www.lv-club.jp/hosyo/kousatu/kadai(081207).html

以上

2009年3月4日水曜日

「読み」に困難のある人のための実態調査・協力募集中

最近,発達障害でも「読み」に困難のある人の支援に関心を持っています。

発達障害で「読みの困難」と言えば「ディスレクシア」と考えてしまいがちですが,アスペルガー症候群の人の中にも,綾屋さん(「発達障害当事者研究」の著者で当事者)のお話しをうかがったり,当事者の方々のお話を伺うと,文字(フォント)や色にこだわりがあったり,視覚的な過敏性があったり,または書籍や雑誌の段組の読み進め方がわかりにくく,混乱したりなどなど,いろいろな理由で読みにくさを感じている人がいることがわかってきました。

また,発達障害全般や認知面に困難のある障害に目を向けると,高次脳機能障害など,読みに困難を生じる障害は,ディスレクシア以外にもたくさんあります。しかしながら,当事者や支援に関わる人以外には,こうした困難さについてはあまり知られていないという現状があります。

そこで現在,これまでは視覚障害の人向けにサービスを提供していたBRC(バリアフリーリソースセンター)という団体が,視覚障害以外の人々で,読みに困難を感じている人の実態を知るための調査を行っています。視覚障害以外での,読みに困難を感じている人への支援の必要性を把握するための調査です。

日頃少しでも,本やウェブ,その他の印刷物などに読みにくさを感じたことがある人は,ぜひ調査に協力していただけるとありがたいです。特に,そうした困難を感じている人がどのような工夫をしながら読んでいるのか,具体的な方法について目を向けた調査であるところが特徴です。


「読み」に困難を感じている人への読書に関するニーズ調査(説明)
http://www.best-npo.com/brc/index2008-2.html

当事者向けアンケートのページに直接飛ぶ場合は,以下のリンクへ
http://www.best-npo.com/brc/2008.html

指導者・支援者向けのアンケートページに直接飛ぶ場合は,以下のリンクへ
http://www.best-npo.com/brc/2008-2.html


関連情報:

綾屋さん&熊谷さんの障害学会での発表要旨
http://www.arsvi.com/2000/0709as.htm

綾屋さん&熊谷さんの上記についての書籍
発達障害当事者研究—ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)

2009年3月2日月曜日

イベント情報:読書バリアフリーを考えるシンポジウム

以下のようなイベントがあります。


2010年国民読書年に向けて視覚障害者・高齢者の読書バリアフリーを考えるシンポジウム−読書バリアフリー法の制定を目指して−

 視覚障害者や加齢に伴う低視力化により読書がしづらくなった高齢者のための「読書バリアフリー」を考えるシンポジウムのご案内です。
 国連では2006年12月、「障害者の権利条約」が採択され、我が国でも現在批准に向け国内法の整備が進められているところです。この条約では、合理的な配慮の下、「利用可能な様式を通じて、文化的な作品を享受すること」を確保するためのすべての適当な措置をとることが義務付けられております。
 一方国内では、国民の「活字離れ」が叫ばれて久しくなりますが、国民的な読書活動を推進するために「子ども読書推進法」や「文字・活字文化振興法」が制定されております。また、2008年6月には国会で2010年を「国民読書年」とする決議が全会一致で採択され、国民すべてが更に読書に親しめるような読書環境と読書文化の高揚が期待されているところです。
 このような情勢の中、障害者や高齢者の読書環境を改善するために以下のようなシンポジウムを企画しました。このシンポジウムでは、「読みたくても読めない」という読書困難者が一冊でも多くの本と触れ合えるようにするためにはどうしたらよいか、みんなで知恵を出し合い、出版そのもののバリアフリー化や図書館の障害者・高齢者サービスのあり方を考えていきたいと思います。そして最終的にはこの読書のバリアフリー化が、我が国の知的で活力ある文化の形成や力強い経済活動に貢献するための基礎的な環境整備となることを願っております。多くの方のご参加をお待ちしております。

日 時: 2009年3月21日(土) 13時〜16時30分

場 所: 日本盲人福祉センター (東京都新宿区西早稲田2-18-2 電話 03-3200-0011)

主 催: 日本盲人福祉委員会 文字・活字文化推進機構

後 援: 活字文化議員連盟 全国音訳ボランティアネットワーク 出版UD研究会 バリアフリー資料リソースセンター 弱視者問題研究会

日 程: 13:00〜 開会式

13:10〜 講演1 「視覚障害者の「文字に接する権利」--そのふたつの要素--」 講師:橋本宗明氏(社会福祉法人 ぶどうの木理事)

13:40〜 講演2 「公共図書館における視覚障害者サービスの歩み」 講師:田中章治氏(東京都立中央図書館)

14:10〜 休憩

14:20〜 読書バリアフリー法案提起

14:40〜 パネルディスカッション パネリスト  高橋秀治(ロゴス点字図書館長) 中和正彦(ジャーナリスト) 長岡英司(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター教授) 藤田晶子(全国音訳ボランティアネットワーク代表) 松井進 (千葉県立中央図書館)

16:20〜 閉会式

参加費: 無料

問い合わせ・申し込み先
バリアフリー資料リソースセンター(BRC)事務局 〒171-0031 東京都豊島区目白3-21-6-101 電話 03-3950-5260 ファックス 03-5988-9161 電子メール info@dokusho.org ※ Eメール、FAX、郵便などでお申し込みください。 ※ 点字,拡大文字,テキストファイルでの資料を 希望される方は申し込みの際にお申し出下さい。



会場までの交通:

JR山手線・西武新宿線で→「高田馬場駅」早稲田口から徒歩15分
早稲田口の改札を出て階段を数段下り、右に曲がって駅の外に出ます。正面の信号を渡って早稲田通りを500メートル程進み、明治通りとの交差点(馬場口交差点)を渡って右に曲がります。100メートル程進み、自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を左に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。

地下鉄東西線で→「高田馬場駅」7番出口から徒歩10分
7番出口を出て右に曲がり、早稲田通りを300メートル程進んで、明治通りとの交差点(馬場口交差点)を渡り、右に曲がります。100メートル程進み、自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を左に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。

地下鉄副都心線で→「西早稲田駅」ローソン横出口から徒歩3分
ローソン横出口を出て右に曲がり自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を右に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。

JR高田馬場駅からバスで→「高田馬場2丁目」バス停から徒歩5分
「高田馬場駅」早稲田口の改札を出て階段を数段下り、右に曲がって駅の外に出ます。2番のバス停から「早大正門行」都バスに乗り、一つめの「高田馬場2丁目」で下車します。駅方向に80メートル程戻り、明治通りと早稲田通りの交差点(馬場口交差点)を左に(早稲田通り側を)渡ります。100メートル程進み、自転車店と高田馬場アクセスの間の1本目の路地を左に曲がって、100メートル程先の左手にある3階建ての建物です。

2009年2月25日水曜日

読み上げ支援:SAPI5に対応したTextToWav

以前,読み上げソフトについての質問あれこれで紹介した「Text To Wav」がバージョンアップして,SAPI5対応になっていました。フリーウェアな上に高機能で,背景の文字を簡単に拡大縮小できたり,背景色を変えたり,読み上げ速度を変更したりといった操作ができます。


読み上げソフト開発と音声学習
http://noah0.blog119.fc2.com/
※上記のブログの左側に,「Download」と書かれたリンクがあり,そちらからTextToWavをダウンロードできます。



上記がTextToWavのスクリーンショットです。

  • 画面左上端「MS UI Gothic」と書かれているフォント名の左隣にあるスライダーを,マウスでドラッグして左右に動かすことで,テキスト領域のフォントサイズを変更できます。
  • 「一時停止(||)」ボタンの左右にある「巻き戻し(<|)」,「早送り(|>)」ボタンを押すと,一文ずつ読み上げする文を先に進めたり,前に戻したりできます。読み上げている文は背景色が変わるので,どこを読み上げているのかわかりやすくていいですね。
    ※Natural Readerでは,読み上げている段落全体の背景色を変え,加えて読み上げている単語近辺の背景色を変えていきます。この辺りの微妙な仕様の違いが,TextToWavとNatural Readerのどちらを使うか好みの分かれるところでしょう。
  • 画面右上部の「Rate」の右隣のスライダーを左右に動かすことで,読み上げの速度を変更することができます。MISAKIだと15倍まで加速できますが,ここまでくるともう何をしゃべってくれているのかさっぱりわかりません(^^;)。

    作者のNoahさん,このような有用なソフトを公開してくださり,ありがとうございます。
  • 2008年12月17日水曜日

    空気を読むSST,シンボルと写真の活用(外国人向け日本語教育の素材を特別支援教育に生かす)

    外国人を対象とした日本語教育を支援するサイトで,とても素晴らしい素材が公開されていました。

    特別支援教育関連ではなく,日本語教育の教材なのでつい見落としていましたが,教育目的では自由に使用できる無料素材なので,これを使わない手はありませんね。

    みんなの教材サイト
    http://minnanokyozai.jp/

    上記のサイトでは,会員登録(無料)してログインすると,様々な素材を使用できるようになります。利用者として日本語教師を想定してサイトが作られていますが,別段日本語教師でなくても,誰でも登録して使うことができるようです。


    7,700を超えるイラスト素材を公開

    例えば,イラスト素材については,「教科書を作ろう」イラスト406点,「CASTEL/J」イラスト6,795点,「UME」イラスト219点,「初級語彙イラスト集」イラスト308点が公開されていました。

    いずれも,名詞はもちろん動詞を表すイラスト素材が充実しています。ちなみに初級語彙イラストはすべて動詞です。「あいさつします」「合います」「会います」「上がります(エレベーター)」「上がります(気温)」のように,動詞に対応したイラストがダウンロードできます。

    まさにこれ,自閉症などコミュニケーション支援用のシンボルとして使えますね。


    状況説明付き生活場面の写真素材が500枚以上

    そしてこれ,この写真素材はすごいですよ。驚きました。日本人の生活に関連する場面を描写した写真が,その状況や社会的,文化的な意味を説明した文章付きで公開されていました。


    衣食住と道具
    衣類、飲食物、住居、道具、の四つのテーマ・・・日本人が日常生活でよく使用する あるいは目にする「もの」の写真,名詞の写真107枚

    社会生活
    報道・通信、医療・サービス、交通、行政、経済活動、教育、の六つのテーマ・・・日本社会における様々なサービスとそれが行われる場所を紹介する写真114枚

    自然と余暇
    季節・気象、地形、動植物、教養・娯楽、スポーツ、観光地、の六つのテーマ・・・日本の自然と観光地、日本人の余暇を紹介する写真49枚

    行事
    年中行事、冠婚葬祭、の二つのテーマ・・・日本の主な年中行事と祭り、冠婚葬祭を紹介する写真98枚

    日常生活
    起床・睡眠食事、美容・健康、通学・通勤、勉強、仕事、家事、交際、趣味・遊び、の九つのテーマ・・・四つの家族の構成を表す写真と、それらの家族の日常生活を紹介する写真,動詞の写真147枚


    上記のように充実しているところもすごいのですが,以下,ちょっと見てみてください。「日常生活/仕事」カテゴリにある「名刺交換」のページのスクリーンショットを撮ってきました。注目すべきは,このページの「発展解説」の部分なんです。


    仕(し)事(ごと)で初(はじ)めて人(ひと)に会(あ)うときには、ふつう、名(めい)刺(し)を交(こう)換(かん)します。訪(ほう)問(もん)先(さき)では客(きゃく)から先(さき)に、立(た)ったまま、名(めい)刺(し)を受(う)け取(と)る人(ひと)が読(よ)めるように向(む)けて、片(かた)手(て)を添(そ)えて両(りょう)手(て)で出(だ)します。受(う)け取(と)るほうも両(りょう)手(て)を使(つか)います。受(う)け取(と)った名(めい)刺(し)は、すぐにポケットなどにしまわず、テーブルの上(うえ)などに置(お)いておきます。その場(ば)では名(めい)刺(し)にメモなど書(か)かないようにします。
     名(めい)刺(し)には、所(しょ)属(ぞく)、役職(やくしょく)、名(な)前(まえ)、会(かい)社(しゃ)の住所(じゅうしょ)、電(でん)話(わ)番(ばん)号(ごう)、メールアドレスなどが書(か)いてあります。
     また、あいさつをするときには、ふつう、おじぎをします。おじぎは体(からだ)を30度(ど)ぐらい曲(ま)げ、頭(あたま)を軽(かる)く下(さ)げます。


    内容的には「日本人が名刺交換する習慣とその作法」が説明してあります(このサイトの文字には上記のような形で全ての漢字にルビが振ってあるので,少々読みにくいかもしれません)。

    他にもこの調子で,写真とともに説明が示されています。例えば「交際」カテゴリのトピックを引用してみると,以下の18件が登録されていました。

    「食後のだんらんをする」
    「朝のあいさつをする」
    「母親同士でおしゃべりをする」
    「誕生日会をする」
    「手紙を書く」
    「手紙を出す」
    「デートをする」
    「若者同士で時間をつぶす」
    「飲み会をする」
    「電話をかける」
    「訪問する」
    「会社の人と酒を飲む」
    「ゴルフをする」
    「相談する(公民館)」
    「相談する(喫茶店)」
    「カラオケで歌う」
    「結婚式に出席する」
    「葬式に行く」


    以前,ある自閉症スペクトラム当事者の方とのやりとりのなかで「外国人向けに書かれた日本事情の本が,発達障害のあるある人にとって『空気を読む(いわゆる暗黙のルールを知る)』ことに役立つよね」という話をしました。このサイトの情報は,まさにこうした目的にも役立てられるのではと可能性を感じています。

    そもそも外国の言葉を学ぶときには,言語自体を学ぶ以外に,背景情報としてその国の文化や習慣を学ぶことがとても重要です。しかもたいがい,文化や習慣は国ごとに大きく違うので,異文化の人にとって,文化習慣を学び,理解することはとても難しい。そこで外国人に言葉を教えるときには,わかりやすい教材を作る必要がある,というニーズが生じてきます。

    日本生まれの日本育ちでも,物事の受け止め方に周囲とのギャップを感じたり,理解の難しい「暗黙のルール」に苦しんでいる発達障害のある人々にとっては,こうした教材に誰でも自由に触れられるようになると本当に役に立つと思います。

    ※ちなみにこのサイトでは,日本語の文字のアニメーション教材なども見ることができます。読み書き障害の支援にとっても役立つ教材です。









    2008年12月8日月曜日

    ATACカンファレンス京都2008お疲れ様でした

    今年も12月5〜7日とATACカンファレンスで講師を務めさせていただきました。ご参加いただいた皆さん,ありがとうございました。

    ATACカンファレンス京都2008

    ATACは講師と参加者の方々の距離が近いので,終わった後にいろいろなご意見いただけたりと講師にとってもとても楽しいイベントです。たくさんのアイデアと元気をいただきました。また来年,京都でお会いできればうれしいです。

    私が講師を務めたセミナーのリスト:

    1)12月5日 10:00〜16:45 プリカンファレンス(講師)
    「相手に正しく自分の見たことを伝えることが出来ますか?〜福祉や教育に役立つ科学的観察と記録の方法を学ぶ〜」

    2)12月6日 11:20〜,13:20〜(各30分間)
    LivingLibrary(むーんらいずさんの辞書役)

    3)12月6日 15:20〜16:20(講師)
    「思考を整理する技術 〜マッピングソフト入門〜」

    4)12月7日 9:30〜10:30(講師)
    「ケータイを活用する」

    5)12月7日 11:00〜12:00(講師)
    「Windowsの秘密 -肢体不自由・視覚障害の人に便利な機能-」

    6)12月7日 13:00〜14:00(講師)
    「障害のある高校生を大学へ〜合格へ向けての合理的配慮の申請とは〜」

    7)12月7日 14:30〜15:30(講師)
    「パワーポイントでうまれる教材」

    2008年10月2日木曜日

    ウェブページでどこを見ればよいか混乱しないために

    Reading Blinds — a YUI-powered Reading Tool
    http://yuiblog.com/blog/2008/09/30/r­eading-blinds/

    スクリーンルーラーのような機能*1をブラウザに提供してくれるブックマークレットが公開されていました(idea*idea経由で知りました)。

    *1 Claro Software製のScreen Ruler。機能のデモはこちら。日本でもこころリソースブック出版会から販売されています。



    ディスレクシアだけに限らず、発達障害や高次脳機能障害のために注意に障害のある人、高齢者や子どもなど、読みに困難のある人がウェブページを読むときに助けになるツールです。

    画面のマウスのあるライン以外を覆い隠してくれるので、邪魔な情報を隠し、読みたいと思っている部分だけに集中して読むことを助けてくれます。

    ワープロなどそのほかのソフトでこの手の機能を使いたい場合は、前述のスクリーンルーラーを使うと良いと思います。

    <インストールと起動の仕方>

    上記ページのずーっと下の方に、

    「That’s the lot. You can download readingblinds.js and include it in your site, or you can drag the following link to your links toolbar: Reading Blinds.」


    という文章があります。

    この文の最後の「Reading Blinds」のリンクをクリックすれば、Reading Blindsが動き出します。

    このページ以外で使うときには、ブラウザのブックマークに登録し、望みのウェブページ上でこのブックマークを呼び出すと使用できます。ブラウザ上で動くものなので、OS問わず使うことができます。

    <使い方>

    Reading Blindsを起動して(日本語入力をオフにした状態で)、「l(←Lです)」で覆われていない部分の幅を広げ、「s」で幅を狭めます。

    Reading Blindsの機能のオンオフを切り替えたいたいときは、「b」を押します。

    2008年7月8日火曜日

    読み上げソフトについての質問あれこれ

    今回は、読み上げソフトをいくつか紹介する中で、Windows環境で読み上げソフトを使う上でわかりにくい点をまとめてみます。(以前「実践障害児教育」に掲載した「読み書きの困難を支援する」の記事について、さらに進んだ説明でもあります。)

    Q. 読み上げソフトにはどんなものがあるの?

     海外のものも含めて、沢山のソフトが公開されていますが、私が実際に使ってみたり、紹介してもらったりして、読みに困難のある子どもたちに便利だと思った3つのソフトを紹介します。

    読み上げソフトとは、実際には「音声エンジン」と、その音声エンジンをコントロールしたり、文字の表示をいろいろと工夫してくれたりする「読み上げソフト」の組み合わせから成っています。音声品質としておすすめは1番目の組み合わせですが、音声品質は劣るとはいえ、読み上げを無料ですぐに試すには3番目の組み合わせを試してみてください。


    1) Natural Reader ←個人的なおすすめ

    入手先:http://www.naturalreaders.com/



    長所

    1. ハイライト表示機能がある。読み上げている場所、読み上げている単語を、背景と文字の色を変えて表示(ハイライト表示)してくれる。そのため、文章のどこを読み上げているのかがわかりやすい。
    2. 操作がシンプルでわかりやすい。基本的に画面に表示されているのは、再生・停止ボタンと速度調整(Speed)、音声エンジン選択(Speeker)だけで、それだけ操作できればよい、という割り切ったシンプルさ。
    3. 表示するフォント、文字の大きさも変更できるので、極端に大きな文字にして見やすくするなどの工夫もできる(メニューの「Control」→「Sttings」→「Font」タブ→「Change Font」ボタンを押す)。
    4. 有償だが、SAPI5に対応する日本語エンジン(説明は後述)の中には、非常に流ちょうに日本語や英語を読み上げるものが登場している。
    5. 無料であること。


    短所

    1. 英語の音声エンジンは(あまり流ちょうとはいえないが)付属しているものの、日本語の音声エンジンを別途インストールしないと、日本語読み上げには使用することができない。
      → 日本語の音声エンジンは、「SAPI 5」に対応した音声エンジンが必要。この説明は後述します。

    2. 海外製品なので、ダウンロードして入手するとき、インストールするとき、画面のメニュー、設定画面などが英語。
      →実際には画面の指示に従えばインストールもできますし、操作も、読み上げたい文書を貼り付けて、再生・停止ボタンを押すだけなのですが、やはりメニューなどが英語だと敬遠されがちです。




    2) MO Speech

    入手先:http://www.laboreconomics.org/



    長所

    1. 操作が極めてシンプル。とにかく読み上げたい文字列の範囲を選択してコピーすると即座に読み上げ。
    2. 無料であること。


    短所

    1. 読み上げエンジンは全く付属していないので、自分でSAPI5に対応した音声エンジンを導入する必要がある。



    3) Text to Wav

    入手先:http://noah0.blog119.fc2.com/
    ※Special thanks to TK先生・・・このソフトを教えていただきました。ありがとうございますm(_ _)m




    長所

    1. 多機能。句点ごとに一文ずつ読み上げてくれたり、画面の文字サイズをつまみを調節するだけで拡大縮小できたり、背景やフォントの色をボタンひとつで好みのものに変えたり、読み上げた音声をMP3(音声ファイル)に出力できたり、のように多彩な機能がある。
    2. 対応する日本語音声エンジンを、無償で手に入れることができる。とにかく読み上げソフトを使ってみたいならまずはこのソフトを使うべし。
    3. 作者の方が日本人なので、ネット上に日本語の説明書がある。
    4. 無料である。


    短所

    1. 読み上げエンジンは付属していないので、自分で「SAPI4」に対応した音声エンジンを導入する必要がある。
    2. SAPI4の日本語や英語の音声エンジンには、あまり流ちょうに読み上げるものがないので、読み上げ音声の品質は良いとはいえない。
      ※作者のNoahさんがSAPI5対応をTODOに挙げておられます。とても素晴らしいソフトなので、SAPI5対応を首をなが〜くしてお待ちしております!

    3. メニューなどが英語表記。



    Q. 日本語音声エンジンの入手方法は?

    日本語音声エンジンを使う、とひとことで言っても、SAPI(Speech API:Windows上で動くソフトウェアに読み上げ機能を提供する仕組み。音声エンジンもこれに含まれる)のバージョンによって、いくぶん違いがあります。

    このSAPIには、大きく分けてバージョン「4」と「5」が」あります。

    SAPI5対応の音声エンジンを手に入れる

    最近のWindows用のソフトウェアで使われている音声エンジンは、基本的にこちらのバージョンのものになります。今回紹介したソフトの中では、Natural ReaderとMO SpheechはSAPI5に対応した音声エンジンが必要です。

    日本語でSAPI5に対応した音声エンジンを入手するためには、Microsoft Office 2003に付属の読み上げ機能をインストールするか、市販の日本語対応音声エンジンを入手してインストールする必要があります。(編注:XP→2003に改めました。しかしながら、この辺ちょっとよく把握していません。XPにはSAPI4の日本語音声エンジンが付属していて、2003にはSAPI5だったかもしれません。どちらも手元になく確認ができませんでした。)

    市販のものでは、例えば、XP Navo(ナレッジクリエーション社製)を購入して、これに付属しているSAPI5対応の音声エンジンを導入すると良いでしょう。このXP Navoには、個人的におすすめの音声エンジン「Misaki(日本語、女性)」のほか、「Show(日本語、男性)」「Miyu(日本語、女性)」「Kate(英語、女性)」の4つ(いずれもペンタックス製の音声エンジン)が含まれています。

    ペンタックスの音声エンジンは、http://voice.pentax.jp/でデモンストレーションを試してみることができます。驚くほど読み上げ品質が高い日本語音声エンジンです。Misakiの音声は私の周りにいるユーザの間でも人気です。私もお気に入りだったりします。

    SAPI4の音声エンジンを手に入れる

    ちょっと古いバージョンなのですが、SAPI4に対応した日本語音声エンジンは、ウェブ上でダウンロードして入手することができます。さらに、前述した高機能な読み上げソフトウェア「Text to Wav」はSAPI4にのみ、対応しています。このソフトを使おうと思ったときには、SAPI4の音声エンジンを入手しておく必要があります。

    この入手方法についても、Text to Wavのページで詳細に説明してあります。http://noah.ninja-web.net/soft/texttowav.htmlを開き、左のメニューにある「FAQ」をクリックしてください。その一番上、「起動時にエラーメッセージが表示されて終了してしまいました。」をクリックすると、SAPI4の入手とインストール方法が説明してあります。


    (以上)

    2008年6月2日月曜日

    読み書きに障害のある子どもを支援する

    月刊 実践障害児教育」という雑誌で,発達障害のある子どもをテクノロジーで支援する方法についての連載をしています.

    「テクノロジーで支援する発達障害のある子の困り感」という連載タイトルで,4月号から7回ものの連載です.初回の4月号は中邑賢龍先生(東京大学先端科学技術研究センター)に総括的なレビューをいただき,5月号からバトンタッチして私が各論的なお話しをしています.

    コンセプトは「すぐに試せる」ということなので,あまり難しいテクノロジーの話に傾きすぎずに,無料で,すぐに実践してみることができるものを紹介しています.

    5月号は,「読み書きに障害のある子どもを支援する」というタイトルで,読みを楽にする読み上げソフトや音声図書,文字入力を楽にする推測入力や,ICレコーダの活用などの紹介をしました.

    記事中の体験コーナーでは,「Natural Reader」という,無料で試せる読み上げソフトと,HOYA社製の高性能な音声合成エンジンの体験方法を説明しました.
    (この音声エンジンには何種類もラインナップがあり,おすすめはMisakiという音声エンジンです.でもこの夏,あたらしいHarukaという音声エンジンが登場するそうで,とても楽しみにしています.)

    書店や図書館で読んでいただけたら嬉しいです.

    2008年3月12日水曜日

    ルビ振りの自動化・追加情報「ひらがな・なびぃ」

    ちょうど昨日の記事をアップしていたら、ルビ振りの自動化について、富士通ラーニングメディアさんから素晴らしいソフトがリリースされたという情報が入ってきました。Windows用のソフトウェアで、無償公開されています。学年ごとで学習する漢字レベルに合わせてルビや平仮名化を調整したり、日本語能力試験の水準に合わせて調節したり、文章の要約機能があったりと、とても多機能なソフトウェアです。

    ひらがな・なびぃ:富士通ラーニングメディア
    http://jp.fujitsu.com/group/flm/eco/hiranavi/



    ひらがな・なびぃ
    『ひらがな・なびぃ』は、インターネット上の漢字をひらがな変換して表示できるブラウザです。文部科学省の「学年別漢字配当表」を元に、インターネット上の漢字を学年単位でひらがなに変換し、表示します。さらに、インターネット上の有害情報をURLや単語単位で遮断できます。このほか、「リンク集」、「要約」機能を搭載し、充実したインターネット環境をご提供いたします。
     また、日本語を学習中の外国人の方も、自分の学習レベルに合わせ、日本語のホームページを読むことができるように漢字をローマ字で表示する機能もあります。

    2008年3月11日火曜日

    漢字の読みが苦手なときには?:ルビ振りの自動化

    発達障害の中でも、読み書き障害や高次脳機能障害のために、文字を読むことが難しいと感じる人がいます。せめて漢字にルビを振ってくれれば読みやすくなるのだけれど、という人のために、利用できる自動ルビ振りサービスはいろいろと存在しています。読み書きに困難のある子どものために、頑張ってルビを手作業で振っているが、その作業がとても大変で苦労している人や、成人で読み書きに困難のある人で、読めないことに恥ずかしさを感じてしまい、なかなか周囲に読み方を聞けない人などにも便利なサービスです。

    以下のように、文章中に含まれる漢字にルビを振り,読字の困難さを軽減する機能が,インターネットの複数のウェブサイトで誰もが試用できるサービスの形で無償提供されています.もともとは、子どもや外国人向けと銘打って用意されているサービスですが,もちろん読字障害のある子どもや成人にとっても、便利に使うことができます.



    「キッズgoo(http://kids.goo.ne.jp/)」は,検索結果のウェブページに含まれる漢字の読みを,「漢字(かんじ)」のような形式で,括弧内に挿入してくれる子ども向けのサービスです.



    「ルビ(ふりがな)振りサービス AddRuby(http://www.addruby.com/)」でも,任意のウェブページやテキスト内に含まれる漢字に,同様の形式で読み仮名を挿入することができます.


    「YomoYomo(http://yomoyomo.jp/)」は,外国人向けのサービスなので説明が英語で少しわかりにくいですが、ページ上部のウィンドウにウェブページのURL(アドレス)を入力して、「ひらがな」と書かれたタブをクリックすればルビ振り機能が使えます。このサイト、MacOSXのSafariブラウザではうまく見られませんでした。WindowsのInternet Explorerでは見られます。



    「ひらひらのひらがなめがね(http://www.hiragana.jp/)」はシンプルでいいですね。Windowsのブラウザでは、このように通常のフリガナ的に、漢字の上に読みを振ることができるのでわかりやすいですね。


    こうしたサービスを活用することで,ルビ振りについては特別なソフトウェアを用意せずとも,私たちの誰もが容易にルビ振りを行うことができる状況にあります。ぜひ活用してみてください。

    2007年12月4日火曜日

    超破格値のミニノートパソコンで広がる可能性

    台湾のASUSという会社から、たったの199ドルでミニノートパソコンが発売され、世界中で話題になっています。安かろう悪かろうではなく、しっかりしたパソコンだそうです。

    $199で話題の小型ノートパソコン、ASUS「Eee PC」
    http://www.ibukuro.com/2007/11/199asuseee_pc.html

    まだ日本では販売されていないので、当然ながら日本語版は発売されていません。また、標準の状態では、Windowsはインストールされておらず、「Linux」というOSが搭載されています。(とはいえ自分でインストールできれば、XPもかなり軽快に動くそうです。)

    日本でも個人輸入して日本語化する人が増え始め、ネット上ではインストールされているLinuxを日本語化したり、WindowsXPをインストールしたりと、かなりアツイことになっています。上記のブログはEeePCをいち早く利用しておられる日本の方の記事です。

    私たちは視覚障害の方だけではなく、読み障害のある人のためにパソコンで音声読み上げソフトを使用することをいろんなところで提案していますが、そんなときよく問題になるのが「高価なパソコンを購入するのが難しい」という点です。ここまで低価格でしっかりした機能のパソコンが販売されるようになると、そうした常識も変わることになるでしょう。

    読み上げエンジンで個人的に一番気に入っているのは、ペンタックスのVoiceTextという音声エンジンです(http://voice.pentax.co.jp/)。読み上げは非常に自然で、初めて読み上げ機能を使う人にもおすすめしています。

    通常はWindows上で動かしていますが、実はこの音声エンジン、Linux用もあるので、EeePCにWindowsをインストールしなくても、音声読み上げが使えそうです。ぜひ試してみたいところです。

    ブラウザは「Firefox」という非常に高機能なもの(MacOS版とWindows版は私も愛用しています)がすでにインストールされているので、このブログでも紹介しているCheckPad.jpもすぐに使えます。まだここでは紹介していませんが、Googleカレンダーという予定管理のウェブサービスは、Firefoxとは大変親和性が良いことが知られています(今年のLos Angelsで開かれたCSUNという障害支援技術のカンファレンスにもGoogleのグループが来ていて、Googleで公開している様々なサービスは、Firefox上で動かすことを積極的にサポートする、と強調していました)。

    日本でもこのところ、「視覚障害や読み障害のある子どものために拡大教科書を!」という動きがありますが、印刷された特殊な教科書が普及する前に、EeePCで読み上げエンジンを使ってしまえ!ということが常識になる時代がやってくるかもしれません。なんといっても本体価格がたったの「二万円ちょっと」ですから。

    <余談>

    同様の低価格PCを世界中の子どもたちに届けるプロジェクトとして、OLPCがあります。

    OLPC - One Laptop Per Child
    http://laptop.org/index.jp.html

    こちらは399ドルを支払って、1台を発展途上国の子どもに、1台を自分の子どもに、という「1台あげて1台ゲット・キャンペーン」を行っています。OSはやはりLinuxです。Intelも「Classmate PC」という似たコンセプトの製品を作っているそうですね。日本でもこうした製品が発達障害のある子どもたちを含め、コンピュータによる支援を必要とする人たちに届くようになるといいですね。私もまずはEeePCから、入手してみようかなと思います。

    2007年11月17日土曜日

    読み障害を支援するカラーフィルムをパソコン上で実現

    ディスレクシア(特に読み障害)のある人に対して、「カラーフィルム」が有効な場合があると言われています。

    まだそのメカニズムはよくわかっていないようですが、読み障害のある人の中には、色知覚に異常がある場合があり、それが文字の読みにくさにつながっているという説があります。そんなとき、文書が印刷された紙の上に、色つきのフィルムを乗せると、文字が読みやすく感じられるそうで、実際に海外ではそのためのフィルムが販売されている例もあります。

    通常、文書は「白地に黒」で印刷されていますが、カラーフィルムを乗せることでコントラストを変えると、「文字が眼に刺さるような感覚がなくなって読みやすく感じる」という読み障害のある人の話を私も聞いたことがあります。またどの色を使うと見やすくなるかは人によって随分違うとのこと。

    パソコンを使っているときにも、当然同じ事が起こります。以下のツール(「如意スクリーン」Windows用のフリーソフトです)はもともと、まぶしさを感じやすいく、画面を最低輝度にしてもまだもっと暗くしたい人のために作られたツールだそうです。画面全体に好みの色のフィルムをかけたような効果を与えることができます。フィルムの透明度も自由に操作することができます。ひょっとすると、読み障害や視覚に過敏性のある人から意見を聞いて作られたものなのかも、と思えるほど、読み障害のある人のカラーフィルタとしてぴったりのソフトで、ネット上で発見したときは本当に驚きました。

    以下の画面例では、濃い緑のフィルタをかけてみました。色の選択はお好みで好きな色を選べますし、フィルムの透明度も自由に調整できます。パソコンを使っているときに、どうにも疲れやすいとか、まぶしすぎて画面が見にくいとか、字が読みにくいと感じている人は、ぜひ試してみてください。



    如意スクリーン
    http://soft.edolfzoku.com/nyoi/

    <追記:11月22日>

    書き忘れていました。「読み障害のために」と書いていますが、これは一般的なディスレクシアタイプのLDだけではなく、感覚過敏などのために読みにくさを感じている発達障害のある人も含まれます。コメントに視覚的な過敏性のあるアスペルガー症候群の当事者の方からコメントをいただいて、そこをきちんと書いていなかったことに気づきました。過敏性があるために、画面をまともに見るのがつらい方も、ぜひ試してみてください。