2008年10月22日水曜日

当事者の語りに触れるには

前回,当事者の語りについてのサイトの話題を出しました。障害に限らず見てみると,マイノリティ(少数派)の人々に対する偏見,知らないことから来る不安をなくすことなどを目的とした活動や,それに関連したウェブサイトがあります。


「がん患者の語り」データベース
http://www.dipex-j.org/

「がん患者の語り」データベースとは?

このプロジェクトは、乳がんまたは前立腺がんを体験された皆さんに、最初に診断を受けたときの気持ちや治療法の選択において参考にしたこと、闘病中に困ったこと、生活への影響などについてインタビューさせていただき、その内容を系統的に整理して、データベース化しようというものです。一部はインターネット上の『がん患者の語りウェブサイト』に公開されます。英国Oxford大学で作られているDIPEx(Database of Individual Patient Experience)というデータベースがモデルになっています。



BBCが"Living Library"のニュース動画を配信中
http://current.ndl.go.jp/node/7808

この「Living Library(生きた図書館)」という活動は,元は暴力や武力侵略をなくすために始まったものとのこと。そうしたぶつかり合いの元になっている,世の中のマイノリティに対する誤解や偏見をなくし,相互理解を深めるために行われている活動です。警察官,菜食主義者,肥満の人,特定の宗教の教徒,ティーンエイジャー,そしてもちろん障害のある人など,さまざまな人々が「生きた本」としてイベント中で「貸し出され」,借りた人はその「本」と30分間ゆっくり話をすることができる,というものだそうです。誤解を助長しないために,マニュアルも作られています。面白い活動ですね。

ATARIMAEプロジェクト:障害者があたりまえに働けるニッポンへ

障害のある人の就労についての情報サイトが新しくオープンしています。メールでの相談窓口も用意されていますね。タレントを起用して,働く障害当事者の語りも少し見られるようです。

ページの最下部,「働きたい障害者の皆さんへ」のところで,障害のある人が厚生労働省の制度を活用して雇用に至るまでの流れが図にまとめられ,説明されていたりするので,この辺りをよくご存じない方には全体を見渡す良い資料になると思います。


ATARIMAEプロジェクト:障害者があたりまえに働けるニッポンへ
http://atarimae.jp/


私も,障害者雇用礼賛という感じでもなく,(社会生活全般の話題を,もっと中立的に善し悪し含めて)当事者からの語りや体験談,そこから生まれたライフハックなどを見ることができるサイトを作りたいなと思って,準備しています。ちゃんと形にしようとしていますが,日の目を見るのはいつの日か。

2008年10月15日水曜日

過集中からくる疲れを防止する方法

タイマーの活用などで過集中(長時間集中しすぎてしまうこと)からぐったり疲れ切るのを防止する、という事例はいくつか紹介していますが、さらに追加です。


一定時間ごとに目を休めるように警告してくれる『EyeDefender』
http://www.ideaxidea.com/archives/2008/09/eyedefender.html


あらかじめ設定しておいた時間が経過すると、画面に画像を表示したり、目のトレーニングが始まったり、スクリーンセーバーが起動したり、メッセージを表示して休憩をうながしたりと、いろんな方法で休憩をとらせてくれます。

海外のソフトなので、使用方法を少し解説しておきますね。



このソフトをインストールして起動すると、画面の一番下にあるタスクバーに「目のアイコン」が表示されます(上記画像の一番左のアイコン)。このアイコンを右クリックすると、設定メニューが現れます。





「Interval between breaks」で、何分たったら休憩するかの間隔を設定することができます。あらかじめ設定されているのは15〜90分までの5種類ですが、「Custom...」で好みの時間間隔を設定することもできます。





「Break duration」では、何分間休憩するか、休憩時間の長さを設定できます。こちらも1〜10分であらかじめ設定されていますが、「Custom...」で好みの時間間隔を設定することもできます。

また、標準の状態では「Enabled」にチェックが付いていますが、チェックを外すと、このソフトの機能をオフにすることができます。





先ほどのメニューの「Settings」をクリックすると現れるのがこの画面。「Notification」のところで、「休憩時間にどんな画面を表示するか」を選ぶことができます。

「Show pictures in a folder:」を選択しておくと、右のボックスで指定したフォルダの中にある画像を表示してくれます。





「Start the visual training」では、目のトレーニング画面が表示されます。

まず画面全体が真っ暗になり、「Sit comfortably. Relax your eyes. Blink several times during the break period. Use the [SPACE] key to switch the next exercize.(無理なく腰掛けて、目をリラックスさせてください。休憩時間には何度も瞬きをすることを心がけてくださいね。スペースキーを押すと、次のエクササイズに進みます。)」と表示されます。

しばらく待つか、スペースキーを押して先へ進むと、上記のような画面が目の運動として表示されます。最初の格子模様はヘルマン格子と呼ばれる図形(周辺視野にある交点にあるはずのない白い点が見える)ですね。次の画像は静止画なので伝えにくいのですが、画面の端からは時まで白色の視覚が動き回り、それを目で追う、という訓練のようです。他にも回転運動する白い点を目で追いかける課題など、いくつかあります。訓練の種類は、スペースキーを押すことで切り替えられます。

「Activate a default screen saver」を選択すると、スクリーンセーバーが起動します。


「Show a popup balloon in system tray」を選択すると、指定の時間が経過したときに、休憩をうながす以下のようなバルーン・メッセージを表示してくれます。




かなり機能の充実したフリーソフトで、個人的にとても気に入りました。パソコン作業で過集中が起こりやすく、疲労を感じている人は、試してみてください。

もちろん、以前紹介したタイマーの活用のように、「次の休憩画面が表示されるまでは今の作業だけに集中しよう」というように、やる気と集中の持続を助けるツールとして使っても良いですね。

2008年10月7日火曜日

オンラインの大学講義公開・まとめ記事

オンラインで講義を公開している大学のサイトについて、とても良くまとまったブログ記事がありました。「ひげぽん」さんのまとめ記事です。

オンラインで動画・音声・教科書を無料で公開している大学の講義・授業まとめ

http://d.hatena.ne.jp/higepon/20080929/1222686239

日本と海外の公開された授業サイトへのリンクの他、動画・講義資料などの公開されている情報種別や、講義の科目例もまとめられています。素晴らしい!

東大の講義も、本当にたくさんの専門に渡ってビデオ公開されていますから、どんな分野に進もうかと考えている高校生の皆さんにとっても、大学の雰囲気を感じるいいツールになると思います。

携帯メールで「あと何分?」を超カンタンにお知らせ

これまでも時間感覚を助けるタイマーやリマインダを紹介してきました。

今回は携帯電話の本体でタイマーやスケジュールを設定するよりカンタンかもしれない、「あと何分?」をメールで教えてくれるリマインダを2つ紹介します。


ToDoMail
http://www.aivy.co.jp/products/todomail.html



todomail@aivy.co.jp宛に、タイトルに日時を記載したメールを送ると、その時間にメールを返信してくれるという無料のサービスです。

特に登録は必要ありません。ただ、このメールアドレスに送れば、送ったアドレスに返信を返してくれます。

例えば、「今日の午後3時頃に○○さんに電話しなきゃ」と思ったら、タイトルに「1500」、本文に「○○さんへ電話 090-xxxx-xxxx」などと入力して、上記の宛先にメールを送っておけば良いわけですね。すると指定の時間にその本文の内容が記載されたメールが飛んでくると。(このToDoMailは、とある当事者の方から教えていただきました。Mさんありがとうございます!)



Hit Me Later
http://www.hitmelater.com/


すごくシンプルで良いなと思ったのがこのサービスです。例えば、「1時間後にお知らせが欲しいなぁ」と思ったら、「1@hitmelater.com」にメールを送ります。同様に「12時間後」なら「12@hitmelater.com」に送ります。このように、@の前に入力した数字に従って、メールを自動的に返信してくれるサービスです。

こちらも特に登録は必要ありません。単にメールを送れば良いだけです。

他にも、「5分」なら「5m@hitmelater.com」のように数字に「m」を付けることで、分単位にも対応しています。アドレス帳によく使う時間間隔のメールアドレスを登録しておくと便利ですね。

ただし、こちらは「Basic(無料)」「Pro(年12ドル)」「Exec(年30ドル)」という3つのサービス種別があります。無料のBasicは24時間先までの返信にしか対応していません。24時間以上の間隔を指定したメールを受け取るためには、有料版に加入しないと行けないのが面倒・・・。

さらに、HitMeLater.comから、自分がタイトルと本文に記載したものをそのまま送り返してくれるのですが、日本語だと文字化けします。時間指定の方法がすごくシンプルで面白いので、日本語に対応してくれるとさらに良いのですが、この点はちょっと残念。

私の場合は、以前ご紹介したバイブレーション付きカードタイマーは99分、私の持っている携帯電話は60分までしかタイマーが対応していません。2時間とか3時間とか、ちょっと長めの時間を指定したいとき、タイマーのかわりに使っています。「半日(6時間くらい)後に○○さんにもう一回連絡しなきゃ」などと思ったときに、「call marumaru-san」とか書いてメールしておく、といった使い方です。




以上、メールなので遅延や不達も発生するでしょうから、確実にお知らせを受け取りたい場合には別の方法も用意しておいた方が良いと思いますが、ちょっとした自分用のリマインダなら、こうした方法も面白いかもしれないと思いました。携帯電話に使いやすい簡易タイマー機能がない人とか、カードタイマーを持っていない人にも便利だと思います。

2008年10月2日木曜日

ウェブページでどこを見ればよいか混乱しないために

Reading Blinds — a YUI-powered Reading Tool
http://yuiblog.com/blog/2008/09/30/r­eading-blinds/

スクリーンルーラーのような機能*1をブラウザに提供してくれるブックマークレットが公開されていました(idea*idea経由で知りました)。

*1 Claro Software製のScreen Ruler。機能のデモはこちら。日本でもこころリソースブック出版会から販売されています。



ディスレクシアだけに限らず、発達障害や高次脳機能障害のために注意に障害のある人、高齢者や子どもなど、読みに困難のある人がウェブページを読むときに助けになるツールです。

画面のマウスのあるライン以外を覆い隠してくれるので、邪魔な情報を隠し、読みたいと思っている部分だけに集中して読むことを助けてくれます。

ワープロなどそのほかのソフトでこの手の機能を使いたい場合は、前述のスクリーンルーラーを使うと良いと思います。

<インストールと起動の仕方>

上記ページのずーっと下の方に、

「That’s the lot. You can download readingblinds.js and include it in your site, or you can drag the following link to your links toolbar: Reading Blinds.」


という文章があります。

この文の最後の「Reading Blinds」のリンクをクリックすれば、Reading Blindsが動き出します。

このページ以外で使うときには、ブラウザのブックマークに登録し、望みのウェブページ上でこのブックマークを呼び出すと使用できます。ブラウザ上で動くものなので、OS問わず使うことができます。

<使い方>

Reading Blindsを起動して(日本語入力をオフにした状態で)、「l(←Lです)」で覆われていない部分の幅を広げ、「s」で幅を狭めます。

Reading Blindsの機能のオンオフを切り替えたいたいときは、「b」を押します。