2008年11月10日月曜日

どこかで紛失した持ち物を戻って来やすくする方法

過去にこのブログで,持ち物をなくしてしまうことを防ぐ「道具」について紹介しました。身につけていた物が一定の距離以上遠くへ離れると,音を鳴らして知らせてくれるセンサーや,持ち物を置いておく場所のルールを決めて忘れ物を少なくするためのちょっとしたトレーなどを紹介しました。


落とし物や忘れ物を避けるためのツールと工夫
http://fagoa.blogspot.com/2008/03/blog-post_23.html

落とし物を発見するキーホルダー
http://fagoa.blogspot.com/2007/10/blog-post_5265.html


今日ご紹介するのは,持ち物を失くしてしまっても,できるだけ戻ってくるようにする,という面白いサービスです。失くさないように・・・と気にするのではなく,紛失してしまうことを前提にしているところが面白いですね。


紛失物回収サービス「マイブーメラン」
http://www.bij.jp/


・年会費1,260円を払う
・専用のタグを物品に付けておく
(最初はタグが3つしかないので追加で欲しければサイトで購入する)
・その物品をなくしてしまったとき,拾った人がマイブーメランの会社窓口に連絡する
・マイブーメランが回収して拾い主に謝礼を渡す
・マイブーメランが持ち主に届けてくれる

・・・というサービスです。会費制なので,年会費を払っている期間は,何回紛失して回収しても追加料金は発生しないそうです。いいですねこれ。

しかも,米国ブーメランイット社と提携していて,海外で失くしたものも届けてくれるそうです。そういえば私も以前,アメリカで携帯電話をなくして,とても面倒な思いをしたことがあります。いろいろと手続きがあるのは仕方ないですが,結果として見つからなかったのが残念でした。

海外だけに限らず,慣れない土地に行ったときは,不慣れから焦って不注意が起こりやすくなり,失くし物が増えますよね。それだけでなく,慣れない場所ではなくしものを満足に探すこともできない場合が多いです。そういう時にも便利なのでは,と思います。

とはいえ,注意に困難のある人の場合,良く慣れているところでも,自分でもびっくりするくらい失くし物をする,とよく伺います。なくしものって,自尊心がとても傷つきますよね。「どうして自分はこんなにダメなんだ」と落ち込んでしまいます(失くしたことがわかるのは本人だけなので,周囲からはどうしてそんなに落ち込んでいるのか不思議がられることになります)。物を紛失したことをきっかけに,大きなパニックを起こしてしまい,より大変なことになる場合もあります。

また,仮に誰かが拾ってくれたとしても,直接連絡を取り合って渡す,というのも物騒な現代では難しいですから,隙間を突いた良いサービスなのではないかと思います。

紛失することが日常茶飯事になっているので全く動じずに諦めてしまえるというADDの達人もいますが,それでも失せ物が出てくることほど嬉しいことはないですから,気になる人は試してみてください。私もやってみようと思います(実は私も達人の域に達しています)。

>T内さん,
面白いサービスを教えてくださってありがとうございました。



2008年11月9日日曜日

テキスト入力専用機で書字の困難を支援する

なんと文具メーカーのKingJimから,テキスト入力だけに特化した機器が11月10日に発売されることになりました。このニュースが発表されてすぐ,ある書字に困難のある子どもさんのお母さんから「こんなの出るよ」と教えていただいて,すごく驚きました。まさか日本のメーカーからこんな素晴らしい製品が出るとは!

私たちも書字に困難のある子どもに,パソコン上のワープロソフトやソフトウェアキーボード,チャットソフトなどを使って,文章を綴る楽しみ,文字で誰かにメッセージを伝える楽しみを早いうちから感じてもらうことを実践しています。

文字を書く訓練にこだわるあまり,その先にある文字を通じたコミュニケーションという目的やそこにある楽しさが感じられず,文字に関わること自体がトラウマになってしまうことがあってはならないと思うからです。ところが勉強の場面では,学校になかなかパソコンを持ち込めないという現実を悲しく感じていました。

ポメラは本当に「文章の入力と記録だけしかできない」ので,ペンやノートなどの文房具と同じようにとらえられ,学校場面にも持ち込むことができるのではないか,という期待があります(同じコメントを前出のお母さんからもいただいています)。価格も定価で2万7千円,実売では2万円を切る値段になるようです。


デジタルメモ帳「ポメラ」——文庫本サイズのテキストエディタ登場
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/21/news075.html

「ポメラ」関連のニュース
http://news.google.co.jp/news?q=%E3%83%9D%E3%83%A1%E3%83%A9


本当は,教育場面でもパソコンを持ち込んでその子どもの困難さに合わせたソフトウェアを使えるようになるといい,と思うのですが,なかなか壁は厚いですね。そんなときに,こんなニュースを見つけました。


インテルと内田洋行、ICT 教育の普及に向けて柏市の公立小学校2校で実証実験
http://japan.internet.com/public/news/20080807/4.html


企業が支援して,学校場面にパソコンを導入する試みはまだ始まったばかりです。上記の記事のような大規模な試みが継続的に行われよう,応援したいです。

ただ気になるのは,パソコン導入の目的として「反復訓練」に重きが置かれている点です。学校教育の場面からパソコンが導入されることで,ネット利用や機能代替・拡大ソフトウェアが利用できる可能性が生まれます。その可能性を生かすことができれば,学習面に様々な困難ある子どもが皆と同じ場に参加できるようになるという効果も生まれます。さらに,そうした拡大・代替で生まれる,これまでになかった「新しい知」を感じられる場にもなるでしょう。それを見抜いて記録する受け皿を,教育を実施する側に用意しておいて欲しいと思います。ただのパソコン・ドリルで終わるだけではもったいないです。






共有は便利,でもセキュリティには注意。

Googleでの予定表や地図などを,公開設定を調整して閲覧制限をかけ,仲間内だけで共有する機能はとても便利です。ところが最近,意図せぬ過分な情報公開が懸念されてもいます。教師が生徒の個人情報を気付かず公開してしまう,というケースも多いようです。


Googleマイマップで意図せぬ情報公開多発、「うっかり」で済めばいいが
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0811/09/news001.html

Google:マイマップの公開設定をご確認ください 2008年11月4日
http://googlejapan.blogspot.com/2008/11/blog-post.html


こうしたことで便利な機能が敬遠されてしまうのはナンセンスだと思いますが,不利益を被ったり,不安や不快感を感じる人が生まれないように,セキュリティにはくれぐれも注意しましょう。私も気をつけねばと思いました。