2009年1月26日月曜日

オバマ政権での自閉症者施策について

ホワイトハウスの施策公開ページである「THE AGENDA http://www.whitehouse.gov/agenda/disabilities/」に,オバマ政権での障害者施策について書かれていましたが,後半の半分ほどが自閉症のある人への施策に触れられていたので訳出してみました。

自閉症対策法をベースにした大規模スクリーニング実施とそれに基づく対策の立案・実施へ向けた動きが本格的に始まるということのようです。


<以下訳>

自閉症について

Obama大統領とBiden副大統領は,自閉症スペクトラム障害(ASD)のあるアメリカ人,その家族,そしてそのコミュニティを支援する。その支援には,以下のように,いくつかの鍵となる要素がある。

*第一に,Obama大統領とBiden副大統領は,自閉症に関する研究,処置,スクリーニング,国民の認識,支援サービスへの資金拠出の増加を支持する。
*第二に,Obama大統領とBiden副大統領は,ASDのある人々への生涯を通じたサービスおよび,ASDのある成人と子ども両者への介入とサービスの改善を支持する。
*第三に,Obama大統領とBiden副大統領は,自閉症対策法(Combating Autism Act)と,政府と州のASDに対するプログラムをどのように改善していくかを決定するため,議会,親,ASD専門家の作業への資金拠出を支持する。
*第四に,Obama大統領とBiden副大統領は,全ての乳児の全数スクリーニングと,ASDを含むいくつかの兆候が現れ始める年齢である二歳児の段階での再スクリーニング実施を支持する。これらのスクリーニングは安全で安全かつ確実なものとなり,スクリーニングを望む全てのアメリカ人が利用できるものとなる。スクリーニングは,必要な支援やサービスを得るために十分に早い段階で障害を同定する上で,子どもや家族にとって不可欠なものである。


Autism



President Obama and Vice President Biden are committed to supporting Americans with Autism Spectrum Disorders ("ASD"), their families, and their communities. There are a few key elements to their support, which are as follows:



* First, President Obama and Vice President Biden support increased funding for autism research, treatment, screenings, public awareness, and support services. There must be research of the treatments for, and the causes of, ASD.

* Second, President Obama and Vice President Biden support improving life-long services for people with ASD for treatments, interventions and services for both children and adults with ASD.

* Third, President Obama and Vice President Biden support funding the Combating Autism Act and working with Congress, parents and ASD experts to determine how to further improve federal and state programs for ASD.

* Fourth, President Obama and Vice President Biden support universal screening of all infants and re-screening for all two-year-olds, the age at which some conditions, including ASD, begin to appear. These screenings will be safe and secure, and available for every American that wants them. Screening is essential so that disabilities can be identified early enough for those children and families to get the supports and services they need.

2009年1月19日月曜日

スウェーデン企業・「2万人の障害者集団」サムハル

2万人の障害者を雇用するスウェーデンの国策巨大企業「サムハル」の記事が日経ビジネスに掲載されていました(日経ビジネスは閲覧に無料のユーザ登録が必要でした)。


働きたい者には等しく機会を与える
“障害者集団”、スウェーデン・サムハルの驚愕(1)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090114/182649/

厳しい数値目標が国営企業を鍛えた
“障害者集団”、スウェーデン・サムハルの驚愕(2)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090115/182792/

弱者を変えた冷徹な合理性
“障害者団体”、スウェーデン・サムハルの驚愕(3)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090119/183071/


記事にはサムハルはかつての製造業メインからサービス業メインへの移行で,ある程度,臨機応変に対応できる障害者を重視しているといった記載がありました。となるとそうした対応が苦手とされる自閉症スペクトラムの当事者達にはどのように対応しているのかなど,気になっています。

とはいえサムハルには,障害が軽くて働ける人を優先的に雇用するのではなく,雇用が難しい人から優先的に働けるように,という原則があるようです。これは株主である国が毎年数値目標を設定していてコントロールしているとか。

それぞれの障害者の特性を把握して,グループで組み合わせて仕事に当たることができるようにするとか,精神障害の人がリハビリ的に仕事をする環境を作るとか,ちょうど私たちも内輪で議論していたようなトピックが書かれていたこともあり,何かの機会にストックホルムにお話しを伺いに行ってみたいと思っています。なんといっても「2万人」というインパクトがすごい。


関連情報


日本の皆様へ サムハルAB 代表取締役 イェルハルド・ラーション(他)
http://www.prop.or.jp/flanker/20/20samu.html

 大阪のプロップステーションのサイトに,1998年12月と古いものですが,サムハルグループの代表と日本代表の方の挨拶が掲載されていました。日本代表事務所は検索しましたが,ウェブでは情報が見つけられませんでした。


身体障害者の就労状況:その1: SAMHALL( サムハル)の現状:
http://fukushi-sweden.net/welfare/handikapp/2008/samhall.l0802.html

 上記のページは,スウェーデンにお住まいの社会福祉士の方のサイトのようです。掲示板の前書きに,スウェーデンが福祉国家として日本から神格化されているが,スウェーデン国内では福祉と教育が民営化されたことを端緒とする問題や批判が大きいこと,さらにその背景にEU連合へ支払う莫大な会費による国家財源の圧迫があることなどが書かれていて興味深いです。日本が偏重する「スウェーデン福祉神話」という指摘はなるほどと思います。


2004年度サムハル社(スウェーデン)年次報告書
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/ld/samhall2004/business.html


 DINFにサムハルの2004年の年次報告書と題された短いレポートが掲載されています。DINFでは知的障害のカテゴリに分類されていますね。日経の記事を読むと,多様な障害を対象としていると書かれていますから,ちょっと分類が誤解を招くかもですね。それともやはり知的障害者の雇用がメインなのでしょうか。

2009年1月5日月曜日

予定の見通しを付けるのが難しいときには?

新年最初なので,シンプルな予定表を皆さんにお届けします。

元は私自身が自分のために作って使っていた予定表ですが,シンプルに誰もが使えるように改変してみました。

<予定表をダウンロードする(PDF形式,192kB)> ←右クリックして「ファイル名を付けて保存」してください。



上記の画像のように,A4一枚で一週間の予定が書き込めるようになっています。曜日は月曜から日曜までをすでに入力してありますが,年月日は空欄なので,自由に記入して使ってみてください。

私のおすすめの使い方を書いておきます。

予定と実際を両方書く

一日の予定の半分あたりまで,30分刻みの点線が入っています。このあたりを利用して将来の予定を書き込み,残りの左半分に「実際にはどのような時間の使い方をしたか」を書き込みます。

予定を記入する手帳はよくありますが,この予定表は重点は,この「どのような時間の使い方をしたかを書き込む」ところにあります。

例えば以下のような書き方をします。



上記の予定表では,一週間が一覧できます。これを使って一週間の見通しを良くしてあげることで,予定の把握や見通しに伴う困難(例えば以下のようなこと)を軽くすることを目指したものです。

□ 予定を立てる際,その前後に必要となる準備や片付けなど「予定そのもの以外に必要となる時間」を,あらかじめ見積もることをつい忘れてしまう。  → 予定だけではなく,24時間全ての時間軸が書き込んであるので,そこに準備と片付け,移動の時間を書き込むクセをつける助けになります。

□ ある予定を終わらせるのに,いつもかかっている時間を忘れて,かかる時間を過小評価(または過大評価)してしまう。  → しばらく継続して記録を付けていると,何かの作業に自分がどれくらいの時間が必要なのか,過去の記録を参考にして判断する材料がたまってきます。

□ すでに今週,沢山の予定が入っているにもかかわらず,つい空いた時間にどんどんと予定を入れてしまう。  → 24時間の時間の量が一目でわかるので,予定が詰まりすぎていて,十分な休息の時間が取れていない日も目視でわかります。

□ 先週何をしたのか覚えていない。  → 先週何をしたかは先週の予定表に書かれています。紙がたまっていくと,自分が何をしていたのかを見直すことが楽しくなってきます。

□ 24時間表記の予定表なので,睡眠時間や移動時間,余暇の時間など,通常の予定表では把握しにくい時間の使い方も把握できる。  → 特に,睡眠時間や休憩時間が十分取れているかを見直すことに使ってみましょう。十分取れているのに疲れが取れない場合は,過去の行動を見直して,もう少し休息を長く取ったほうが疲れにくいか?または何か疲れにつながる原因があるか?を判断する材料にしてみては。

・・・などなど。

このような困難さがあるために,毎日なぜかわからないのだが疲れ切ってしまって,ある日突然,電池が切れたように倒れてしまう,という人がいらっしゃいます。

そんな方は,この予定表を使って「自分観察日記」をつけてみてはいかがでしょうか。


予定の種別で色分けする

実際の時間の使い方を書き込む際には,「仕事に関する作業」「趣味の作業」「その他」など,使った時間の長さを示す縦線を書き込むときに,ざっくりと簡単に色分けして書いておくと,あとから見直すときにわかりやすくなります。


時間に関係のないTODOや目標は左の空欄に書く

今週やっておく必要のあることなどは,一番左の空欄に書き込んでおき,終わったものは横線で消すようにすると,やるべきことの状況が把握できて便利です。


注意点

書き込む際にこだわりすぎない! あくまでも,使った時間の内容を書き込む際には「ざっくりと」書き込むようにしましょう。分単位,秒単位で精確に描き込むことにこだわると,破綻します。長続きしないどころか,かえって疲れ切る原因を増やしてしまいます。

それが難しい場合は,30分ごとの区切り線を消して,もっとざっくりした予定表を作って使ってみるのもいいかもしれません。

精神的にひどく参っているときには使わないことも重要です。

または,ネガティブな気分が続いているときには,うまくポジティブな時間管理に向かうようアドバイスしてくれるような人と一緒に使ってみるものいいかもしれません。

以上,関心のある人は使ってみて,また感想を教えてもらえると嬉しいです。

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
皆様にとって良い年となりますことを祈念しております。

今年はもうちょっとまめに更新できるようにしたいと思います!